中教審の初等中等教育分科会教員養成部会は9月28日、短期大学に開設することを原則としている小中学校の「2種」の教員免許の教職課程について、一定の条件を満たせば4年制大学にも置くことができるようにする制度改正案を了承した。履修単位数が少ない2種免許の課程を用意することで、日本語教育や子どもの心理的ケアなどを専攻する学生も免許を取得しやすい環境を整え、学校現場が抱えるさまざまな課題解決に強みを持った教員を養成する狙いがある。
小学校の教員免許の取得はこれまで、教育学部などの教員養成系学部にしか認めてこなかったが、今回の制度改正によって初めてそれ以外の学部にも解禁されることになる。文科省は同日、教職課程の認定基準を改正し、2025年度の入学者からこうした2種免許の課程を開設できるようにした。
これまでは4年制大学の教職課程で取得できる教員免許は「1種」が原則だった。ただ、1種免許を取るには教職専門科目を中心に59単位を履修する必要があり、所属学部・学科の卒業に必要な単位(124単位)と重複する科目も少ないことなどから、学生たちの負担は大きく、これが免許取得を断念する一因になっていると指摘されていた。
これに対し、2種免許は35~37単位を履修すれば取得できるため、学部・学科の専門分野の学業と並行して教員免許を取ることが容易になる。文科省としては心理や児童福祉、日本語・外国語教育、プログラミングなど地域や学校現場のニーズに合った専攻の学部に開設してもらうことを想定している。
教員養成部会ではこのほか、中学校の「英語」「理科」「数学」「保健体育」の教職課程を置く学科が、小学校の2種免許の課程も設置できるようにすることも決めた。小学校高学年において、この4教科に相当する「外国語」「理科」「算数」「体育」の教科担任制を推進していることを踏まえ、中学校と小学校の両方で教壇に立てる教員を育成するのが目的だ。
また、高校の学習指導要領で「情報Ⅰ」が必修となる一方、地域によっては情報科の専科教員が不足している実態があることから、情報科に限り、04年度から休止していた高校の教員資格認定試験を24年度から再開することも報告された。認定試験は教職課程を経ずに教員免許を取得できる制度で、文科省が実施する。