頭がぼーっとして集中できず、学校の授業が理解できない。疲れやすく体育の授業を見学せざるを得ない――。新型コロナウイルスの後遺症とみられる症状に苦しむ子どもが全国で報告されていることを受け、東京都保健医療局はこのほど、学校の教職員に向けて、児童生徒のコロナ後遺症を理解するためのハンドブックを公表した。子どもの後遺症の特徴や学校が配慮すべきポイントについてまとめたほか、「怠け」などと誤解せずに本人のつらい症状を理解して受け入れる姿勢を示すよう求めた。都の担当者によると、子どものコロナ後遺症に関する学校向けの資料は全国的にも珍しいという。
ハンドブックによると、子どもの後遺症の特徴として起立性調節障害や身体活動の低下が見られ、通学がままならかったり、貧血などその他の病気が隠れていたりする場合もあるという。一方で成人と同様に症状が多岐にわたることも分かっている。児童生徒に気になる症状がある場合は、保護者に対して病院で受診することを助言するよう求めた。
さらに、後遺症が疑われる場合、回復のためには「ペーシング(=症状に合わせて、日常の活動と休養のバランスを取るリハビリの方法)」が重要だと指摘。具体的には▽無理せずできる範囲のことをする▽頑張り過ぎない(余力を残す)▽元の生活に戻るためには時間を要することを理解する――などに注意を払うよう求めた。症状によっては日常生活や学校に行くことが難しい場合があり、教職員が「怠け」や「甘え」ではないと理解した上で、本人のつらい症状を受け入れる必要性についても強調した。また、無理をし過ぎると症状がぶり返すこともあるといい、留意するよう求めた。
学校生活で必要な配慮については、▽オンラインを活用した学習▽部分登校・保健室登校▽教室移動でのエレベーター利用▽冷暖房の調節、座席位置の配慮▽定期考査時の配慮――などを例示し、本人の体調や訴えを踏まえた上で、各学校の実態に則し可能な範囲で検討するよう呼び掛けた。
都では教職員向けと同時に、保護者に向けたリーフレットも作成。いずれも都保健医療局のホームページから確認できる。
【訂正】ハンドブックの作成について、記事初出時、東京都教育委員会が作成と記載しておりましたが、正しくは東京都保健医療局が作成したものでしたので、当該部分を訂正いたしました。