長崎県の銀行や証券会社がタッグを組み、県内の高校生に出前授業をするプロジェクト「ALL長崎金融リテラシー向上プロジェクト」が10月5日に始動した。県や県内の金融機関など60団体から派遣される約350人が講師となり、県内の高校2年生を対象に家計管理や金融知識などについてレクチャーする。専門家を講師として派遣することで、2022年度から高校で本格化した金融経済教育を巡る学校現場の負担軽減につなげることも狙い。
同プロジェクトの担当者によると、県内ではこれまでも各機関が個別に中高生向けの出前授業を行っていたが、広く周知できていないことが課題だった。今回、県内の金融機関が一同に集結することで、学校現場での認知度向上を図り、1人でも多くの高校生の金融リテラシーの育成を目指す。
出前授業は、県内の高校2年生がメインターゲット。普段は銀行や証券会社などで勤務する金融のプロが講師となり、学校に出向き授業する。独自に開発した高校生向けの教材をもとに、▽生活設計・家計管理▽金融や経済の仕組み▽消費生活・金融トラブル防止――についてレクチャーする。学校で授業することが初めての講師も多いため、授業準備の材料になる動画を作成するなど、講師のスキルアップにも本腰を入れる。
プロジェクトの検討段階で、学校現場からは、教員の業務過多や苦手意識から金融経済教育が十分に実施できないという声があったという。今回の試みでこれまで以上に出前授業の依頼をスムーズにするほか、内容を充実させることで、学校現場の負担軽減も狙う。
6日には、十八親和銀行の山川信彦頭取が県内の農業高校に出向き、授業を実施した。担当者は「高校生が理解しやすい授業ができるよう、ブラッシュアップしていきたい」と話している。