自民党の文部科学部会は10月11日、岸田文雄政権が今秋の臨時国会に提出する2023年度の補正予算案に盛り込むべき重点項目案を大筋で了承した。「GIGAスクール構想」の端末更新費用など教育のデジタル化について、今後5年程度かけて推進するため、年度をまたいだ予算執行が可能な基金を設けるよう求めたほか、いじめや不登校対策の強化に向け、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)の配置拡充を前倒しするよう要求した。
GIGAスクール端末の更新費用を巡っては、「年度ごとの予算化では端末の安定的な調達に向けた見通しが立てづらい」との声が地方自治体から出ている。自民党の文部科学部会はこうした地方の意見を踏まえ、9月27日に行った緊急決議で、国費で確実に更新を進めていくために基金を設けて対応するよう求めており、今回の重点項目案でもこの内容を踏襲した。
また、10月4日に公表された2022年度の「児童生徒の問題行動・不登校調査」で、不登校の児童生徒数やいじめ重大事態が過去最多を更新し、子どもの自殺も増加傾向を示したことを受け、いじめや不登校、自殺対策を一層強化するよう要求した。具体的には、SCやSSWの配置拡充に加え、教育支援センターの設置・整備によって不登校の子どもたちが学べる場を確保したり、GIGAスクール端末を使って心身の変化の早期発見を進めたりするよう求めた。
初等中等教育ではこのほか、休日の部活動の地域移行・地域連携の推進、体育館へのエアコン設置やトイレ改修を通じた防災機能の強化なども盛り込まれた。
岸田首相は20日に臨時国会を招集する方針を示す一方、10月末までに新たな経済対策を取りまとめるよう各省庁に指示している。その後、経済対策に必要な費用を裏付ける補正予算案を編成し、臨時国会での成立を図る。