不登校・いじめ対策を前倒し 首相が指示、総合経済対策に

不登校・いじめ対策を前倒し 首相が指示、総合経済対策に
「心の健康観察」の導入などを、不登校対策やいじめ防止対策として総合経済対策に盛り込むよう指示した岸田首相(首相官邸HPより)
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 岸田文雄首相は10月16日、首相官邸で開いた政府の関係府省の合同会議で、子どもの性被害防止や不登校・いじめについての緊急対応策を総合経済対策に盛り込むよう指示した。文科省が来年度予算の概算要求に盛り込んでいたGIGAスクール端末などを活用した「心の健康観察」の導入推進や、課題を抱える重点配置校へのスクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)の配置充実などを前倒しで進めるほか、子どもの性被害防止対策として、新たに幼稚園や保育所、特別支援学校などで子どものプライバシーを保護するためのパーテーションの設置やカメラによる活動の記録などを支援する。

不登校・いじめ緊急対策パッケージのポイント

 この日開かれた「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」と「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進本部」の合同会合に出席した岸田首相は、7月に取りまとめた「こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ」の対策の加速化を加藤鮎子こども政策担当相に、先日公表された2022年度の「児童生徒の問題行動・不登校調査」を受けて、盛山正仁文科相に不登校対策といじめ防止対策の緊急対応策を、それぞれ今月中にまとめる総合経済対策に盛り込むよう指示。「子どもを取り巻く安全・安心が脅かされており、政府として対応を急ぐ必要がある」と強調した。

 これを受けて文科省では、不登校対策として3月に策定した「COCOLOプラン」の対策を前倒しし、不登校施策に関する情報発信を強化する方針。具体的には、来年度予算の概算要求で盛り込んだ「スペシャルサポートルーム」などの校内教育支援センターの未設置校への設置促進や、教育支援センターのICT環境の整備、アウトリーチをはじめとする総合的拠点機能の強化、「心の健康観察」の推進、GIGAスクールの端末を活用した子どものSOS相談窓口の集約、課題を抱える重点配置校へのSC・SSWの配置充実を総合経済対策に入れることで、対策を加速させる。これに加え、学びの多様化学校(旧不登校特例校)の設置促進に向けた全国会議の開催や、学びの多様化学校を設置した経験者を自治体に派遣し、相談・助言が受けられるマイスター制度の創設なども新たに打ち出す。

 いじめ防止対策では、不登校対策と共通の「心の健康観察」の促進やSOSの相談窓口の集約、重点配置校へのSC、SSWの配置充実の施策に加え、新規にこども家庭庁と連携して、国に対する重大事態の報告を通じた実態把握・分析、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの改訂を行う。また、こども家庭庁と連携して、重大事態の発生件数が多い一方でいじめの認知件数が低い都道府県の状況を調査し、自治体に指導助言を行うことや、首長部局からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりの取り組みの強化などを進める。

 こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージの実施の加速化に関しては、新たに保育所などの児童福祉施設、幼稚園、特別支援学校での性犯罪防止対策として、パーテーションの設置による子どものプライバシーの保護や、保護者からの確認依頼に応じるため、活動を記録するカメラの設置を支援。教育・保育を提供する場における性被害防止の取り組みを促すため、先進事例の把握や性被害防止対策の指針のひな形の作成、周知・啓発のためのコンテンツ開発を行う。

 さらに、学校向けの「生命(いのち)の安全教育」の動画コンテンツの作成や、被害者が相談しやすい環境整備、男性・男児の被害者支援の推進なども強化する。

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