不登校に至る重大ないじめが見逃されている恐れがあるとして、『不登校新聞』の石井しこう代表理事らが10月18日、記者会見を開いた。不登校の要因に「いじめ」を挙げる割合が、学校と児童生徒を対象とした文科省の2つの調査で大きく異なることや、支援の現場での実感を踏まえ、石井代表理事は「いじめは本当に大人に見えづらいということを前提にする必要がある」と訴えた。
文科省が今月4日に公表した2022年度の「児童生徒の問題行動・不登校調査」では、回答者である学校が不登校の要因(主たるもの・主たるもの以外にも当てはまるもの)として「いじめ」を挙げた割合は小学校で0.4%、中学校で0.3%にとどまった。一方、文科省が21年に不登校児童生徒を対象に行った調査では、不登校の要因について「友達のこと(いやがらせやいじめがあった)」と回答した児童生徒は小学校で25.2%、中学校で25.5%に上った。
2つの調査では回答者や設問文、回答方法などが異なるため、単純な比較はできないが、東京電機大学の鈴木翔准教授は「不登校の要因に関する学校と児童生徒の認識に、かなり乖離(かいり)がある可能性は高い」と指摘。石井代表理事は「認知差の開きは、支援の現場でも近い感覚を持っている。学校の隠ぺいではなく、いじめが本当に大人から見えづらいということを周知する必要がある」と語った。
小学生の頃、いじめによる不登校を経験したという22歳の女性は「先生に相談しても『そんなことで負けるな』『あの男子はあなたのことが好きなのよ』などと言われ、どれだけ訴えても教室に戻るように言われた。そのうち、誰も助けてくれないのではないか、自分がおかしいのではないかと考えるようになった」と振り返り、「ちょっとでも話を聞いてくれていたら、違ったのではないかと思う」と話した。