重大事態、教員間の情報共有など課題 文科省が分析結果公表

重大事態、教員間の情報共有など課題 文科省が分析結果公表
いじめの重大事態について議論する委員ら(YouTubeで取材)
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 いじめによる自死や長期間の不登校など「重大事態」を巡る課題について優先的に検討を進める「いじめ防止対策協議会」の第2回会合が10月20日、オンラインで開催された。今年度から全国の教育委員会に求めている重大事態の報告について、同日までに文科省などが分析した35件の詳細が公表された。そのうち半数以上で、教職員間の情報共有や組織対応など教職員に関する課題が指摘されていたことが分かった。

 重大事態を巡っては、今月4日に公表された「児童生徒の問題行動・不登校調査」によると、2022年度で923件に上り過去最多となった。依然として増加傾向にあることを踏まえ、国は今年度より各教委から報告を受けた重大事態の調査課程などを分析し、重大事態調査の適切な運用などに反映させる方針を打ち出している。

 今回示された35件の分析結果によると、被害児童生徒の校種などの記載が確認できたのはうち32件で、▽小学校 9件▽中学校 11件▽高校 12件。児童生徒の生命や心身に重大な被害の恐れがある1号事態に該当したのは23件、長期欠席などにつながった2号事態は19件だった。この内訳では1件で1号と2号の両方に該当する場合は、両方に計上されている。

 さらに、それぞれの事案の調査報告書で指摘された課題や再発防止策について整理した。教職員の対応に関する「学校や教職員間の情報共有・連携、組織的対応」と「教職員の法律などの理解及び、積極的な認知や組織的対応など基本的な対処の仕方に関する普及啓発」が、35件のうちそれぞれ半数以上で該当していた。続いて▽スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携 13件▽保護者との情報共有 12件▽被害児童生徒への支援や寄り添った対応 11件――などの指摘が多かった。

 また調査主体などが確認できた28件を対象に、調査委員会の形態についても集計した。学校が主体となり、教職員と弁護士など第三者が調査した事案が15件に上り過半数を占めた。一方で同じく学校が主体で、教職員のみで調査にあたった事案も7件あった。教委など学校設置者が主体となった事案では、第三者のみで構成した組織が5件、教委などの職員と第三者で構成した組織は1件だった。

 さらに、学校が重大事態を把握し調査開始までにかかった期間を見てみると、発生日や調査開始時期が分かった22件のうち14件で30日以内に調査が始められていた。一方で、300日以上経過していた事案も1件あった。

 同省では各教委から寄せられた重大事態の分析を今後も進め、分析結果は随時、協議会で公表する方針。

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