福岡県は10月24日、いじめに悩む児童生徒や保護者を、弁護士など第三者が支援する相談窓口「福岡県いじめレスキューセンター」を11月より開設すると発表した。学校に相談しづらいいじめ問題について、センターに常駐する社会福祉士や精神保健福祉士が相談に応じるほか、必要に応じて弁護士が学校に出向き学校関係者との協議を行うなど、いじめの解消や重大化の回避に向けた調整役を担う。
今月4日に発表された文科省の「児童生徒の問題行動・不登校調査」によると、福岡県内のいじめの認知件数は2022年度で1万6587件と、5年間で7600件ほど増加し、いじめの早期発見が進んでいるとみられる。その上で、新たに学校外の相談窓口を設けることで、これまで学校だけでは発見できなかったいじめを早期発見するとともに、学校への相談後に児童生徒や保護者が第三者による支援を希望するケースなどに対応し、いじめの重大化や長期化を防ぐことが狙い。
対象となるのは福岡県内全ての小中高生とその保護者。センターには社会福祉士や精神保健福祉士などの資格をもった支援員3人と、弁護士1人を配置する。日曜日から金曜日の午前10時から午後6時まで、支援員が電話やメール、対面で相談に応じる。
センターではさらに、いじめ解消に向けた学校との調整役も担う。相談者の同意を得た上で、支援員や弁護士が学校を訪問し、今後の対応について学校関係者と協議する。協議の結果はセンターが相談者に報告し、3カ月後をめどにフォローアップも実施する方針。
いじめに悩む被害者や保護者にとっての支援策であるとともに、学校側にとっても学校外の専門家の知見を取り入れながら対応できる利点がある。県の担当者は、「(学校とレスキューセンターが)お互いに知恵を出し合い、協力しながら、相談者にとって最善の策は何か考えていきたい」と説明した。