児童生徒が1人1台のデジタル端末を使って学ぶ「GIGAスクール構想」を巡り、愛知県の大村秀章知事が10月26日、全国知事会を代表して盛山正仁文科相に緊急の提言書を手渡した。同構想で整備した端末の更新を国費で着実に進めるため、岸田文雄首相が近く策定する総合経済対策において、複数年度にまたがる予算執行が可能な基金を設置するよう求めた。
大村知事は全国知事会の中で、教育政策などを議論する「文教・スポーツ常任委員会」の委員長を務めている。面会は冒頭を除いて非公開で行われたが、終了後に取材に応じた大村知事によると、盛山文科相は「更新を途切れさせてはいけないということで、(基金設置の予算を)経済対策に盛り込むべく頑張っている。財政当局の壁がなかなか厚いので、応援してもらいたい」などと述べたという。
文科省はGIGAスクール端末を国費で更新していく方針を示しており、2024年度予算の概算要求において、24年度に更新が見込まれる5%分の費用として148億円を計上した。ただ、こうした進め方では、更新費用の規模が毎年の予算折衝に委ねられることになるため、地方自治体からは「見通しを持って更新計画を立てることができない」との声が上がっている。
こうした課題を解決する方法として、全国知事会の緊急提言書は基金の設置を提案した。また、小中学校の端末更新費用だけではなく、高校の端末の整備・更新や高校教育段階でのデジタル人材育成の強化などに必要な経費も基金に計上すべきだとした。
GIGAスクール構想の端末更新などを巡っては、自民党の文部科学部会も9月、基金を設置して進めるべきとの決議を行っている(参照記事: GIGA端末の計画的更新へ基金創設を求める 自民部会が決議)。