習熟度別の授業「理解度高まる」が85%超 東京都児童生徒調査

習熟度別の授業「理解度高まる」が85%超 東京都児童生徒調査
iStock.com/JGalione
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 東京都教育委員会は10月30日、小学4年生から中学3年生を対象に、各教科の授業内容の理解度や学習の動機、学校の指導方法などを調べる2023年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果を公表した。それによると、算数・数学および英語で習熟度別のコースや少人数で授業を受けることについて、全学年で90%以上が肯定的に捉えており、85%以上が理解度も高まると回答していることが分かった。

 調査対象の学校は都内公立全小中学校および義務教育学校および中等教育学校(前期課程)。小学校1274校の4~6年生の約28万人と、中学校621校の1~3年生の約21万人がウェブシステムによる調査に回答した。児童・生徒調査は5月15日から6月23日まで、学校調査は5月15日から6月9日まで行われた。

 「各教科の授業内容に対する理解の程度」について、「よく分かる」「どちらかといえば分かる」と肯定的な回答をした児童生徒の割合が最も高いのは、小学4、5年生は理科で、それ以外の学年は国語だった。一方、「どちらかといえば分からない」「ほとんど分からない」と回答をした児童生徒の割合が最も高いのは小学4、5年生が社会で、6年生が算数だった。中学校では全ての学年が英語で、特に中学2年生では8.0%が、3年生では8.4%が「ほとんど分からない」と回答している。

 「学習の動機」について、肯定的な回答をした児童生徒の割合が最も高いのは、小学4年生は「分かることやできることが楽しいから」、5、6年生は「将来の仕事や生活に役立つから」だった。中学1年生は「しっかり考えられるようになりたいから」、中学2、3年生は「将来の仕事や生活に役立つから」だった。

 また、「学習指導の工夫」について肯定的な回答をした児童生徒の割合が最も高いのは、中学2、3年生が「授業では、他の人と考えを交流しながら課題を解決する活動を行っていると思う」で、小学生と中学1年生では「授業では、問題や活動に取り組んで『できた』『分かった』と感じることが多いと思う」だった。肯定的な回答が最も低かったのは小学4年生が「授業では、自分が理解したことや考えたことを他の人や先生に説明する時間があると思う」で、小学5、6年生と中学生では「授業では、学習した内容をどのように振り返ったらよいかを、教えてもらっていると思う」だった。

 算数・数学や英語において自分の学力に応じた習熟度別のコースや少人数で授業を受けることについて児童生徒に聞いたところ、全ての学年で90%以上が肯定的な回答だった。また、85%以上が理解度も高まると回答した。

 なお、学校調査で算数・数学の授業で習熟度別の指導について聞いたところ、最も高い割合だったのは「主に2学級3展開」だった。中学校の英語の授業で少人数・習熟度別指導を行っているかとの設問には、全ての学年で「行っている」が70%を上回っていた。

 今回の調査結果について、東京都教育庁指導部義務教育指導課の担当者は「子どもたちの学習に向かう意識がどう変容しているのか、授業内容を理解しているのかなど、各学校で授業改善に生かしていってほしい」と述べた。

 この調査は、児童生徒の学びに向かう力などに関する意識や、学校の指導方法などを把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、各学校の教育指導の充実や組織的な授業改善に役立てることを目的として、2021年度から行われている。

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