【部活動】「子供主役の改革」テーマに議論 全国教育長会議

【部活動】「子供主役の改革」テーマに議論 全国教育長会議
全国市町村の教育長が集まり、部活動の地域移行をテーマにシンポジウムが行われた=撮影:秦さわみ
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 第20回B&G全国教育長会議(公益財団法人B&G財団主催)が11月8日、都内で開かれ、全国から代理含め212人の教育長らが参加した。今回は「子供が主役の部活動改革」をテーマに取り上げ、受け入れ団体や指導者の不足、関係者間の合意形成などの課題が山積する中、子供たちのニーズの実現や教員の働き方改革をどう進めていくかを議論した。

 同財団は今年8月、同財団の施設がある383自治体を対象に運動部活動の地域移行に関する調査を実施し、うち307自治体が回答した。それによれば、地域移行の受け皿となっている団体(予定含む)は「スポーツ少年団や地域のクラブ」が71.5%と最多で、「市町村スポーツ協会」(55.0%)、「総合型クラブ」(52.0%)と続いた。指導者は「地域の指導者(ボランティア)」が84.2%と最多だが、「教員」も64.8%と、2番目に多かった。

 運動部活動の地域移行で最も課題だと感じていることは「指導者の確保」が39.2%と最も多く、「運営団体(受け皿)の確保」も36.2%に上った。具体的には「学校の事情もよく理解した指導者という観点で人材を探していくと、ほとんど該当者がいない」「平日の指導者確保が特に難しい」「休日に運営を委託できる団体がない」という声が挙がった。

 同日の教育長会議では、こうした背景を踏まえて自治体の事例が紹介された。静岡県掛川市の佐藤嘉晃教育長は2026年8月をめどに、学校から部活動を完全に切り離す方針を説明。部活動に対するニーズは子供によってさまざまであることから、同市の中学校の部活動を自由加入制とし、市教委が公認した地域クラブにも参加できる制度を設けた。その結果、学校の部活動種目にない新たな選択肢や、多世代の参加が実現していると語った。

 一方、兵庫県南あわじ市の浅井伸行教育長は「部活動を廃止する予定はなく、できるところからできる範囲で地域移行・連携を進める」と説明。地域移行の他に現状の部活動の継続、合同部活動の実施、学校施設の統廃合なども視野に入れながら、「生徒の選択肢を広げ、今までできなかったことに挑戦できる環境を作っていく」と述べた。

 一般社団法人未来地図の代田昭久代表理事(前・長野県飯田市教育長)は「部活動改革が進まない自治体は、地域移行が目的化している」と指摘し、「子供たちにとっての部活動の課題、さらには今の学校教育活動の課題は何かを考え、解決策を考えていかなければならない」と強調した。

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