全日本教職員組合(全教)は11月8日、文科省で記者会見し、教員の「働き方改革」や教育環境の充実に向けた提言の冊子を公表した。公立校の教員に対し、月給の4%相当を「教職調整額」として支給する代わりに時間外勤務手当・休日勤務手当(残業代)を支給しないと規定した給特法を改正し、残業代を支払う仕組みに変えるよう求めた。また、1人の教員が受け持つ授業数(持ちコマ数)に上限を設け、教職員定数を改善すべきだとした。
「働き方改革」について議論している中教審の特別部会は、教育関係団体などを対象に書面を通じたヒアリングを実施しており、全教も意見を提出している。この日は中教審に既に提出した意見を分かりやすくまとめた冊子やパンフレットを公表した。
給特法の在り方については、残業代を支払う仕組みの法制化を求める一方、教員の専門性や特殊性に対応する職務給として、現行の教職調整額を維持すべきだとしている。持ちコマ数に上限に関しては、小学校は週20コマ、中学校は同18コマ、高校は同15コマを当面の上限とすることを提案している。
このほか、小学校で段階的に進められている「35人学級」を中学校・高校にも早期に拡大していくよう要求。将来的には全ての校種を「20人学級」とするのが望ましいとし、義務標準法や高校標準法の改正による少人数学級化を一層進めていくことが必要だと主張した。
全教は今後、衆議院の文部科学委員会や参議院の文教科学委員会のメンバーなどに冊子を手渡し、協力を求めるという。檀原毅也書記長は「教員の『働き方改革』だけではなく、子どもたちの成長に必要な教育条件が保障されることが大切だ」と語った。