国の環境教育推進の基本方針 専門家会議が改定素案を了承

国の環境教育推進の基本方針 専門家会議が改定素案を了承
環境教育の推進に関する基本方針の改定素案を大筋で了承した専門家会議=オンラインで取材
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 国の環境教育の推進に関する基本方針の改定に向けて議論してきた、環境省の環境教育等推進専門家会議の第6回会合が11月16日、都内で開かれ、基本方針の改定素案について大筋で了承した。改定素案では、持続可能な社会への変革に向けた環境教育やESDの役割が増しているとしつつ、学校現場の負担軽減などにも踏み込んだ。

 環境教育等促進法第7条に基づき、政府は環境教育などの推進に関する基本方針を定めており、おおむね5年ごとに改定が行われている。今回の改定では、6月から専門家会議が立ち上がり、ヒアリングやワークショップなどが行われてきた。

 改定素案では、気候変動をはじめとする地球環境の危機を踏まえた持続可能な社会への変革が急務だとして、環境教育や持続可能な開発のための教育(ESD)がより一層重要となることを確認。体験活動や多様な主体同士の対話と協働を取り入れた学び、GIGAスクール構想による1人1台端末を活用した実践など、今後の環境教育の実践のポイントを整理した。

 一方で、学校で行われている環境教育には、熱心な教員を中心とした実践がみられるものの、その実践が継続しないことや、調整に時間や労力が割かれることから、外部と連携した連携が十分に進んでいない状況もあると指摘。教員の自主的な取り組みを促進・支援しつつ、一部の熱心な教員だけに頼ることなく、学校で組織的に環境教育を進められるよう、教員の負担を軽減しながら質や効果を高めていく方策を推進するとし、具体的な取り組みとして、地域人材の活用や中間支援機能を持った組織の充実、外部連携による優れた事例の共有などを挙げた。

 また、若者の参加促進の観点も盛り込み、高校生や大学生などの若者世代が持続可能な社会づくりに向けた変革の担い手として、学校などで学んだ知識や技能を生かして環境活動に取り組んだり、多様な主体と対話したりする機会を支援していく方針を打ち出した。

 この日の会合では改定素案の内容についてさらに検討が加えられ、具体的な修正は座長の二ノ宮リムさち東海大学スチューデントアチーブメントセンター教授に一任された。会議での一連の議論を終えるにあたり二ノ宮座長は「私自身は25年ほど環境教育の世界にいるが、25年前に社会変革につながる環境教育が必要だということは一部で議論され始めていたが、今この気候変動と生物多様性保全という大きなグローバル課題を踏まえて、本当の環境危機に直面しているということが多くの人に共有されて、社会変革が免れないものだとされる時代になったと感じる。環境教育の時代が来たと言えるのではないか」と強調し、基本方針の改定が日本の環境教育に与える影響に期待を寄せた。

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