産育休の取得を見越した教員の事前配置の拡充を 指定都市市長会

産育休の取得を見越した教員の事前配置の拡充を 指定都市市長会
青山副文科相(左)に提言を手渡す京都市の門川市長=撮影:大久保昂
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 全国の20政令市でつくる指定都市市長会は11月20日、教員の長時間労働や「教員不足」の解消に向けた提言をまとめ、青山周平副文科相に提出した。年度途中に産休や育休などを取得する教員が出た場合、代役の臨時的任用教員を直ちに確保することが難しくなっている現状を踏まえ、必要な教員を事前に配置できる制度を拡充するよう要求。また、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)を教職員定数に組み込み、義務教育費国庫負担制度の対象とすることも求めた。

 同会はこの日、東京都内で会合を開き、提言を取りまとめた。その後、京都市の門川大作市長が代表者として文科省を訪れ、青山副文科相に手渡した。

 提言は、産休や育休を取得したり、精神疾患などの病気が原因で休職を余儀なくされたりする教員が増加傾向にあり、代役を配置できないことが全国的な課題になっていると指摘。こうした「教員不足」を防止するため、教職員定数の改善などを通じ、各自治体が産休・育休の代替教員をあらかじめ確保する取り組みを支援するよう国に求めた。

 この問題については、文科省も2023年度から手を打っている。年度途中で産休や育休に入る教員が出ることが事前に分かっている場合、手厚い指導などを目的とした加配教員を当該校に年度当初から配置しておき、実際に産休・育休の取得者が出た段階で、その代役に切り替えることを認めるようになった。これに対し、門川市長はこうした加配定数のさらなる拡充を求めるとともに、普段からゆとりを持った学校運営ができることが重要だとして、全体の教職員定数を改善していく必要性も強調した。

 指定都市市長会は提言で、優秀な教員を確保するための待遇改善の必要性も訴えた。給特法に基づいて公立学校の教員に支給される「教職調整額」を現行の水準(月給の4%)から引き上げたり、新たな手当を創設したりすることを求め、必要な予算については国が確保すべきだとした。

 教員以外の学校スタッフの充実という観点では、SCやSSWを教職員定数に算入することに加え、部活動の技術指導などを担う「部活動指導員」、印刷や電話対応などの事務作業に従事する「教員業務支援員」(スクール・サポート・スタッフ)の人件費に対する国の補助率を、現行の3分の1から引き上げるよう要望した。

 面会は冒頭を除いて非公開とされたが、終了後に取材に応じた門川市長によると、青山副文科相は「勤務実態に応じた処遇の改善について、文科省としても全力を挙げる」と前向きな姿勢を示したという。

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