年度始めや学期末の成績処理の時期に、個人情報の漏えい事故の発生率が高くなる――。研究者や企業の専門家などで作る教育ネットワーク情報セキュリティ推進委員会が11月15日に公表した調査結果で、こんな傾向が明らかになった。教員らが、児童生徒などの個人情報を紛失や漏えいさせた事故は2022年度に少なくとも全国で200件発生し、延べ36万人以上の個人情報が流出していた。
調査は22年度に学校や自治体が公表した、児童生徒や保護者を含む個人情報の紛失・漏えい事故について集計した。
その結果、発生件数は200件に上り、前年度の197件よりも微増だった。
時期別に見たところ、学期末の成績処理がある12月が26件で最多だった。次いで、同じく成績処理がある7月が25件、年度始めの4月が22件と続いた。過去13年分の傾向を比べても、4月の年度始めや、学期末の成績処理の時期に事故が集中していた。
1件当たりの事故で漏えいした個人情報の数を見たところ、「1~10人未満」が63件で最多だった。続いて、▽10~50人未満 49件▽100~500人未満 35件――だった。1000人以上という大規模な情報漏えいも14件あった。
また事故の発生原因を調べたところ、「紛失・置き忘れ」が半数に迫り最多だった。続いて「誤送信」や「誤配付」、「誤公開」などがそれぞれ1割程を占めた。
情報の管理手段について規定違反があった事故は8%を占めた。管理職の許可を得ず情報を無断で持ち帰っていたり、私物のUSBメモリを無断で使用していたりなどのケースが報告された。