不適切指導や暴言などした教員数が増加 都教委の実態調査

不適切指導や暴言などした教員数が増加 都教委の実態調査
iStock.com/Andrii Bicher
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 2022年度に不適切な指導や行き過ぎた指導、暴言などを行った公立学校の教員の延べ人数が、前年度に比べ増加したことが11月24日、東京都教育委員会が公表した実態調査の結果で明らかとなった。体罰は前年度と同じ7人だったが、部活動の場面で行われた体罰は調査を開始して以来、初めて0件となった。

 調査は12年に起きた大阪市立桜宮高校(当時)でバスケットボール部の部員が体罰によって自殺した事件を受けて始まったもので、今回で11回目となる。都内の全公立学校2146校を対象に、22年4月1日~23年3月31日に、児童生徒、教員から寄せられた情報提供や質問紙の配布、聞き取りによって実態を把握した。

体罰などの行為者数(延べ人数)
体罰などの行為者数(延べ人数)

 その結果、体罰を行ったのは7人で前年度と変わらなかったものの、不適切な指導、行き過ぎた指導は78人と、前年度より17人増加。暴言なども116人に上り、46人増加した。都教委では、20年度、21年度はコロナ禍の影響で教師と子どもの接触が少なかったために少なくなっていたことが背景にあるとみている。

 体罰について詳しくみると、7人のうち小学校の教員が3人、中学校の教員が4人で、いずれも授業などの教育活動中に行われた。一方、部活動の場面で行われた体罰は調査を開始してから初めて0件だった。体罰に至る原因は、「指示に従わない」が3件、「問題行動を止めるため」が2件、「態度が悪い」が1件、その他が1件。体罰に対する認識は、「言葉で繰り返し言っても伝わらなかった」が4件、「感情的になった」が2件、「体罰と思っていなかった」が1件だった。体罰により傷害を負わせた事案は1件あった。

 都教委では6月に体罰根絶宣言ポスターを全公立学校に掲示したほか、年2回の服務事故防止月間に体罰防止に関するセルフチェックを全公立学校教職員に実施するなどして、体罰の根絶に取り組んでいる。これらに加えて今年度は服務事故防止研修の一環として、暴言などに当たる具体的な事例や、児童生徒の主な問題行動の背景・要因を踏まえた適切な対応例をまとめ、啓発に取り組むとしている。

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