裸眼視力が1.0未満の小中高生が過去最多になったことが、文科省が11月28日に公表した「2022年度学校保健統計調査」の結果で明らかになった。小学生で3割以上、中学生で6割以上、高校生で7割以上を占めた。一方、標準体重より20%以上重い肥満傾向児の割合も、増加傾向にあった。同省の担当者によると、これらの背景には学校や家庭で端末を使用する時間が増えていることや、コロナ禍で変化した生活スタイルの影響などが推察できるという。
調査は児童生徒の発育や健康状態を明らかにする目的で、1948年度より毎年実施。国公私立の幼小中高の健康診断結果を踏まえ、一部の子どもを抽出し集計している。新型コロナウイルス感染症の影響で、21年度調査から、例年4~6月の健康診断期間を年度末まで延長したため、同省は過去の数値と単純比較はできないとしている。
調査結果によると、裸眼視力が1.0未満の子どもの割合は▽幼稚園 24.95%▽小学校 37.88%▽中学校 61.23%▽高校 71.56%――で、小中高で過去最多となった。学年が上がるにつれて多くなる傾向が見られた。
一方、肥満傾向の割合は、小学生で5~15%台、中学生は7~13%台、高校生は6~12%台。男子の幼稚園児は3.56%だった。男女ともに小学校高学年が最も高く、特に男子は8歳以降で1割を超えていた。例えば男女ともに過去最多となった小学5年生(10歳)では、男子で15.11%、女子で9.74%を占めた。
肥満傾向の子どもは、コロナ禍の一斉休校があった20年度に大幅に増加。21年度は若干減少したものの、22年度は多くの学年で再び過去最多となった。同省は「コロナ禍で変化した、運動量や生活リズム、食事量などの生活習慣が影響しているのではないか」との見解を示した。
また、虫歯の割合は小学校と高校で4割以下、幼稚園と中学校で3割以下にとどまり、それぞれ過去最少となった。同省は、学校の歯科保健活動の成果や、歯の健康に対する各家庭の意識の高まりが影響しているとみている。