私立高の学費滞納者が2年連続増、物価高影響か 全国私教連調査

私立高の学費滞納者が2年連続増、物価高影響か 全国私教連調査
調査結果を発表する全国私教連の山口直之中央執行委員長(中央)ら=撮影:大久保昂
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 全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)は11月30日、9月末までの私立中学・高校における学費滞納に関する調査結果を公表した。3カ月以上滞納している高校生の割合は前年同期比0.14㌽増の0.68%となり、2年連続で上昇した。全国私教連は物価高騰による生活苦が一因とみて、国による私立高校授業料の「実質無償化」の所得制限の目安を、現行の年収590万円から同910万円へと引き上げるよう求めている。

 調査は1998年度から実施。全国私教連の組合員が在籍する私立学校を中心に、学費を滞納している生徒数や退学者数などを尋ねている。高校については今回、35都道府県の364校が回答した。

 この結果、9月末時点で学費を3カ月以上滞納していた高校生は2125人だった。回答した高校の全生徒(計31万2814人)に占める割合は0.68%で、前年同期(0.54%)を0.14㌽上回った。このうち、滞納が6カ月以上に及んでいる生徒は737人。全生徒に占める割合は前年同期比0.04㌽増の0.24%となり、2年続けて悪化した。

 また、回答した364校では、9月末までの半年間で30人の生徒が経済的理由により退学していた。全生徒に占める割合は0.01%で、こちらも2年連続の上昇となった。

 国は2010年度から公立高校の授業料を無償化し、私立高校の生徒に対しても公立の授業料相当分(11万8800円)を支援する制度を導入した。その後、私立高校については、低所得世帯に対する支援を拡充し、20年度からは、年収590万円未満の世帯を目安として、年額39万6000円を上限とする就学支援金を支給する「実質無償化」の取り組みをスタートさせた。こうした政策の効果もあってか、全国私教連の調査では、21年度までは学費滞納者の割合が減少傾向を示していたが、22年度以降はわずかながら悪化に転じている。

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