「給特法改廃で教員にも他職業と同じ規制を」 労働弁護団が集会

「給特法改廃で教員にも他職業と同じ規制を」 労働弁護団が集会
日本労働弁護団が開いた集会の様子=撮影:大久保昂
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 教員の働き方改革を巡り、労働者の権利擁護に取り組む弁護士らでつくる「日本労働弁護団」は12月4日、東京都千代田区で給特法の改廃を求める集会を開催した。会場の様子はオンラインでも同時配信され、現職教員や労働組合関係者からは、同法を廃止したり、抜本的に見直したりして、業務の削減を進めるよう求める声が上がった。

 公立学校の教員に適用される給特法は、基本給の月額4%を「教職調整額」として上乗せ支給する代わりに、時間外勤務手当・休日勤務手当(残業代)を支払わないと規定している。日本労働弁護団は8月に公表した意見書で、こうした特殊な労働法制が教員の長時間労働の温床になっているとして、同法を廃止したり、抜本的に見直したりして、教員にも残業代を支給する仕組みを導入するよう求めている。

 4日の集会ではまず、日本労働弁護団の常任幹事を務める嶋﨑量弁護士が意見書の内容について説明し、「給特法を廃止すれば全てがうまくいくと言うつもりはないが、長時間労働がまん延している教育職場には、少なくとも他の職業と同程度の規制が必要だ」と訴えた。

 続いて日本教職員組合(日教組)の丹野久書記次長が登壇し、公立学校教員の月平均の残業時間が「過労死ライン」(80時間)を大きく上回る約96時間に達しているとする日教組の調査結果などを紹介。「学習指導要領を改訂し、ゆとりある教育課程を組むことが子どもにも教職員にも必要だ」と語った。

 ㈱ワークライフバランスの小室淑恵社長と岐阜県立高校教員の西村祐二さんも、オンラインで集会に加わった。全国の学校で働き方改革を支援してきた小室さんは、業務の見直しを進めた小中学校において保護者・児童の学校評価が高まったとのデータを示しながら、「先生が元気になることが、一番子どもたちのためになる」と指摘した。西村さんは学校現場の人員拡充に賛成しつつも、「給特法を抜本的に見直さないで人を増やしても、業務量全体が増えるだけだ」と述べ、残業代の支給をテコにして一人一人の業務量に制限を設ける必要性を強調した。

 一方、早稲田大の清水敏名誉教授は、2019年1月の中教審答申で「基本的には学校以外が担うべき」と分類された「登下校に関する対応」や「学校徴収金の徴収・管理」などの業務ですら、十分な削減が進んでいない現状を問題視した。学校から切り離した際の受け皿があいまいなままにされていることが背景にあるとして、「削減された業務の担い手を明確にし、人件費を確保すべきだ」と述べた。

 教員の働き方改革や待遇改善については、中教審の特別部会が議論を続けている。給特法の見直しも含め、来春をめどに改革の方向性を示す見通しとなっている。

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