いじめ重大事態調査、指針改定に向け本格的に議論 文科省

いじめ重大事態調査、指針改定に向け本格的に議論 文科省
重大事態の調査について、指針の改定に向けて議論する委員ら=オンラインで取材
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 「いじめ防止対策協議会」は12月11日、第3回会合をオンラインで開催し、自死や長期間の不登校などにつながった重大事態の調査を巡り、国の指針の改訂に向けて本格的な議論に入った。公平性や中立性を担保する観点で、調査委員会の在り方や構成メンバーの比率について国が一定の基準を示す必要性が指摘されたほか、オンラインを活用して地域にとらわれず専門性の高い委員を選出する仕組みについて言及があった。

 重大事態の調査を巡りこれまでの議論では、学校と保護者、調査委員の間でコンセンサスが取れていないまま進められていたり、何をどの程度明らかにすべきか不明確だったりなど、複数の課題が指摘されてきた。さらに、弁護士や精神科医など専門的知見のある第三者委員の選び方や比率などについて、国が一定の基準を示し、自治体や学校などが適切に運用できるよう促す必要性が改めて強調された。

 これらを踏まえ、この日の会合では今後の議論の方向性について、具体的なテーマを設定。①重大事態調査の在り方について(重大事態調査を円滑に進めるための学校設置者や学校の基本的姿勢、重大事態の考え方など)②調査組織の在り方、調査の進め方について(公平性・中立性が確保された調査組織の構成、被害児童生徒・保護者に対する説明など)③重大事態調査の標準的な調査事項(調査すべき事項の整理、調査期間の目安など)④調査結果の説明および公表、再調査(結果公表にかかわる個人情報保護法との整理、実効的な再発防止の取り組みなど)――の4つを掲げた。

 同日の議論では、①と②について委員が意見を交わした。

 清原慶子委員(杏林大学客員教授・前東京都三鷹市長)は「特に小さな自治体では、第三者性を担保しつつ専門的な視点を持った委員を選ぶのに大変苦慮している。オンラインやハイブリットで調査委員会が実施できれば、そのような地域でも体制が整うのではないか」と、オンラインを活用した調査委員会の運用を提案した。

 他の委員からも、一部の地域ではコロナ禍が後押しし、オンラインを活用した調査委員会が実現されていると報告があった。

 一方で、田村綾子委員(聖学院大学心理福祉学部心理福祉学科教授、日本精神保健福祉士協会会長)は「オンラインは非常に便利で有用ではあるが、書類のやり取りや情報漏えいを防ぐ仕組みについても検討を進めなければならない」と、何らかのルール作りを求めた。

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