能登半島地震で甚大な被害があった石川県の学校関係者を支援しようと、熊本県教育委員会は1月4日、熊本地震の被災経験を踏まえ早期の学校再開や児童生徒の心のケアのためのノウハウをまとめたハンドブックを、石川県教委に送った。
石川県教委に届けられたのは、2016年に発生した熊本地震の経験から、熊本県教委が学校関係者の支援についてまとめた『大規模災害発生時における学校再開と心のケアハンドブック』。兵庫県の震災・学校支援チーム(EARTH)が作成した『EARTHハンドブック』を基に、熊本県の学校関係者の知見も盛り込んだもの。熊本県は熊本地震の際、兵庫県から配布された『EARTHハンドブック』を参考に、避難所対応や学校再開に取り組んだという。その経験を踏まえ、今回被災した石川県教委にもヒアリングしたところ要望があったため、ハンドブック約150冊を送った。
ハンドブックは全183ページで、避難所運営や災害情報の収集など震災直後の学校の動きのほか、学校を早期再開するためのポイントや学校再開後の児童生徒の心のケアについてなど、幅広い情報を網羅している。
また、熊本地震や阪神・淡路大震災などの際に実施された具体的な取り組みについても触れた。例えば児童生徒の安否確認について、熊本地震の場合、SNSやメールを効果的に使ったことや、電話で連絡がつかない場合は家庭訪問を実施したことなどが記されている。
児童生徒の心のケアについては、地震後に熊本県の小中高校で実施された「心のサポート授業」の実践例が、学校種別や実施時期ごとに詳しくまとめられている。発達段階に合わせて、グループになって眠れないときやイライラしたときの対処法を考えたり、リラックスする方法を体験したりするほか、専用の振り返りシートで児童生徒の心情を可視化する。この学習を通し被災した児童生徒のトラウマを早期発見し、自己回復力を高めることが狙い。
加えて、自身も被災者の場合が多い教職員の心のケアについても指摘。「燃え尽き症候群」にならないためのポイントや、教職員自身が「がんばりすぎないこと」を合言葉にセルフケアするよう呼び掛けている。
ハンドブック全文は熊本県教委のホームページからも確認できる。