青森県、教育改革有識者会議が提言 教員の負担軽減や適正配置を

青森県、教育改革有識者会議が提言 教員の負担軽減や適正配置を
宮下知事(左)と大谷議長=2023年7月31日、オンラインで取材
【協賛企画】
広 告

 青森県の教育改革を進める「青森県教育改革有識者会議」が1月23日、これまでの議論を踏まえた提言を取りまとめ、宮下宗一郎知事に手交した。来年度からの取り組みとして、テストの自動採点システムの導入や教職員の適正配置を進め教職員の負担軽減を図るほか、若手教職員や民間から管理職を登用する仕組みづくりなど学校の経営力を強化するための具体的な案を盛り込んだ。この提言をもとに、次期教育大綱が策定される。

 提言を受けて宮下知事は「来年度の重点事業として位置付けた上で、予算措置を優先して講じたい。これからの時代にふさわしい知性と智慧(ちえ)を身に付ける場所に学校が変化していくことを期待しつつ、学校教育の現場を重点的に支援していきたい」と語った。

 県教育改革有識者会議は、昨年夏に発足。同県出身の大谷真樹知事参与(インフィニティ国際学院学院長)を議長、森万喜子氏(北海道公立学校初任段階教諭指導講師)を副議長に据え、日野田直彦氏(武蔵野⼤学中⾼・附属千代⽥⾼中⾼学園⻑、千代⽥国際中校⻑)や工藤勇一氏(学校法人堀井学園理事、横浜創英中学・高校校長)など全国の学校現場の実践者たちが委員や特別委員を務め、議論を重ねてきた。さらに昨年8月には県内の全教職員と保護者を対象にした大規模なアンケートを実施し、学校現場の課題の洗い出しを続けてきた。

 提言では①学校の働き方改革、教職員のWell-Being向上「教職員の余白づくり」②教育DX、学びの環境アップデート「子どもたちの学びの環境づくり」③学校の経営力強化「教育改革の出発点」――の3本柱を掲げ、県内の学校教育を改革するために来年度から直ちに取り組むべきことを具体的に示した。

 特に教職員の労働環境を巡っては「教職員の余白づくり」を掲げ、業務の削減を進める。具体的には▽職員会議の資料や学校配布物などのペーパーレス化▽教職員が担う必要のない業務や、苦手とする事業領域のアウトソーシングやデジタル化▽テストの自動採点システムの導入――などを挙げた。さらに教職員の配置についても言及し、複数担任制や教科担任制などを活用しながら、学校の実情に応じて教職員を適正配置する方針を示した。

 また、校長の役割についても改めて整理。「教育現場において、校長は特に重要な役割を担うプレーヤー」とし、裁量を明確化することや支える環境を整備する必要性を指摘した。具体的には若手教職員や民間などから管理職を登用する仕組みづくりや、人事や予算を含む校長の役割や裁量を明確にすることなどを示した。

 その他にも、県立高校の入試制度や、少子化を踏まえた学校の統廃合など、今後検討するべき課題も挙げた。次年度以降も有識者会議ではこれらの課題について議論を重ねるほか、教委の取り組みや進捗(しんちょく)を追っていく。

 大谷議長は「提言はゴールではなく、総合教育会議での議論のスタート。前例はないと思うが、有識者会議は継続し、毎年提言をバージョンアップするとともに改革の進捗を県民目線で確認していきたい」と意気込みを語った。

広 告
広 告