中教審初等中等教育分科会の「高校教育の在り方ワーキンググループ」は1月23日、第10回会合を開き、スクール・ミッションやスクール・ポリシーの策定・公表について、これまでの成果と課題を議論した。教育委員会や学校現場からは「学校選択の材料となった」「生徒が特色ある教育活動についての意識を高めた」などの成果が報告された一方、教職員間の共有などの課題も指摘された。
スクール・ミッションやスクール・ポリシーは、各高校の特色化・魅力化を進める観点から2022年度以降、各高校で策定・公表が求められている。スクール・ミッションは各学校の存在意義・役割・目指すべき学校像を示すため、スクール・ポリシーは各高校が育成を目指す資質・能力を明確にするために策定する。
今回の会合で報告した岡山県教委は、スクール・ミッションの策定・公表により「学校間の特色や教育活動が比較しやすくなった」などの成果の一方、「学校名を伏せるとどの学校のものか分かりにくい」「学校は『地域の進学拠点校』としたいが、県教委は学校間の序列化につながる可能性があるため使用しないなど、学校と県教委の思いにギャップがあった」とも語った。
またスクール・ポリシーについては「学校選択の材料の一つとなり、入学者選抜の改善につながった」としつつも、学校によってボリュームや表現にばらつきがあったり、中学生への分かりやすさなど、表現や内容に課題が見られたりしたことも指摘した。
会合では高校の現場からも報告があった。北海道大樹高校の福本正規校長は「生徒から大樹町を良くしたい、大樹高校をPRしたい、もっと中学生が来てほしいという意見をたくさん聞く」と手応えを語った一方、「なかなか教職員との共有が図れず、打ち合わせや職員会議などで繰り返し伝えている。職員の異動が多いが、何とか組織的なものにしたい」とも明かした。
教職員の異動については、岐阜県立岐阜北高校の鈴木健校長も課題に挙げ、「学校運営協議会を利用し、スクール・ポリシーを踏まえた学校経営のPDCAサイクルが回る仕組みを作る」「職員研修や生徒を含めた会議を通して共通理解を図る」などの改善策を語った。またスクール・ポリシーを明確に示すことで、行事などの必要性や優先順位を精査し、働き方改革につなげることが重要だとした。