本校の児童は、素直で明るく、自分の考えを進んで伝えることができる。この良さを生かしつつ、「自分の考えに固執せず、多様な考えを踏まえて新たな自分の考えを持ち、表現してほしい」と願い、「深い学びの実現」を目指す研究に取り組んだ。
本校では「深い学び」を「既有の知識と新たな知識や他者の考えが結び付き、自己選択の結果、知識や考えを再構築する学び」と捉えることとした。また、深い学びを実現する授業を「個々の児童が持つ異なる既有の知識や考えを他者の考えや新たな知識と出会わせる活動を通して、学習内容と結び付けながら学ぶ授業」とし、研究実践に臨んだ。
狙いに迫るための手だては次の5つである。
(1)「みさきの子基本スタイル」
「聴く・伝える・思いやる・自分で考える力」を伸ばすための常時活動(なかよしタイム、トークタイム、児童会活動など)を工夫する。
(2)「ものにする」活動を重視した単元構想
単元前半には、多くの知識や技能を得て思いを持つまでの「ものにする」活動を、後半には、「ものにした」活動を生かして考えを交流する活動を意識して組み込む。
(3)単元を通したICT機器の活用
多様な考えや情報を効率よく視覚化、焦点化、共有化するための学習ツールとして活用する。
(4)授業展開の工夫
授業の中で、考えを比較、共有したり、序列、整理したりする活動を意図的に仕組む。
(5)「わくわくアクション」の設定
視点の広がりや新たな気付きにつながる切り返し、発問、教材の提示(わくわくアクション)を意図的に投げ掛ける。
◎「なかよしタイム」では、仲間づくりのエクササイズに取り組み、話しやすい雰囲気ができた。「トークタイム」では、相手の発言の内容に質問したり、感想をまとめたりすることで、相手意識をもって伝え合う力がついてきた。
◎「ものにする活動」を重視した単元構想を工夫したことにより、一人一人に活動への思いや願いが生まれ、主体的に対話的活動に取り組むことができるようになった。
◎ICT機器の活用により、教師を介さずとも、子ども同士の考えを直接つなぐことが可能となり、考えを比較、共有、序列、整理する上で大いに有効であった。
◎「かけ算一回で、面積を求めるには?」「「伊良湖岬の魅力は誰が支えている?」など、新たな気付きのきっかけとなる「わくわくアクション」を意図的に投げ掛けたことで、児童の視点や考えに広がりが生まれ、さらに課題を追及していこうとする意欲につながった。
深い学びの実現を目指す上で必要な知識や技能を「ものにする」には個人差が生じる。知識や技能に個人差はあれど、個々の振り返りを丁寧に見取ることで、その子なりの「深い学び」を見いだすことができる。今後は、個人差に応じた「深い学び」の充実を目指していきたい。
(文責・鈴木美保校長)