多様性を認めていくことや家庭の経済的な負担軽減につなげるため、長野県松本市教育委員会は小中学校の制服や新入学用品の購入にあたって、統一規格の指定を見直し、保護者や子どもが選択できるようにしていくよう学校に働き掛けていく方針を示した。2月6日に開かれた市の総合教育会議で提言案を出した。今年度中に提言として取りまとめる。
松本市では近年、市立中学校の男女別の制服の在り方について市長に手紙が相次いで寄せられたことをきっかけに、市立中学校の制服について調査を実施。市議会でも小中学校の入学時などの購入品について、保護者負担の軽減を進めていくよう要望されていた。
こうした経緯から市教委では、子どもの多様性を認め、入学時の購入品の保護者負担軽減に向けた支援をテーマにした研究会を今年度に立ち上げ、学校が保護者に対して統一規格での購入を求めている物品の調査や、保護者、中学生、学校関係者との意見交換を行ってきた。
意見交換では「通学靴が指定されており、長い距離を歩くので買い替えも必要だったが、指定店でしか買えなかった」(保護者)や、「指定されるよりも自由な方が、機能性も見ながら、自分に合ったものを選べる」(中学生)などの疑問の声が上がった。また、学校の教職員からは「今、消耗品や行事のバス代などが値上がりしていて、ただでさえ保護者負担は増える傾向にある。負担を減らすためには、公費負担できるものが他にないか、予算も限られていると思うが、子育て支援として検討してほしい」などの要望も上がった。
こうした意見を踏まえ、提言案では購入品は統一規格でなくても、他の品物での代替を認めたり、色や形だけを指定し、保護者が選択できたりするなどの対応、購入品について学校が保護者や子どもの意見を聞くといった考え方を示した。市教委は今年度中に提言としてまとめ、学校に対して見直しを促していくことにしている。