2022年度に全国の公立中学校で技術科の授業を担当していた教員の23.1%が、技術科の普通免許・特別免許を保有していなかったことが2月13日、文部科学省による初めての実態調査で判明した。都道府県・政令市の教育委員会は、普通免許を持つ教員を確保できない場合に例外的に交付する「臨時免許」(臨免)や、他の教科の免許保有者が教えることを特別に許可する「免許外教科担任」(免外)の制度を活用してしのいでおり、こうした教員が75%に達している自治体もあった。プログラミング教育を含めたデジタル人材の育成基盤も担っている技術科で、深刻な教員不足が起きている実態が浮かんだ。
同省の武藤久慶・学校デジタル化プロジェクトチームリーダーは「臨時免許や免許外教科担任が必ずしも悪いわけではないが、正直に言って多いと思っている。指導体制を改善していく必要がある」と指摘。同省は今回の調査に合わせ、各自治体に改善計画を提出させており、28年度までに技術科の臨免や免外を解消することを目指す。
調査は、全国の都道府県・政令市教委を対象に実施。22年5月1日現在で、公立中学校で技術の授業を受け持っている教員数と、普通免許・特別免許、臨免、免外の内訳を報告するよう求めた。
この結果、技術の授業を担当する教員は全国で9719人だった。このうち技術科の普通免許・特別免許を保有しているのは7474人(76.9%)にとどまり、免外が1709人(17.6%)、臨免が536人(5.5%)という内訳になった。およそ4人に1人が普通免許や特別免許を保有しておらず、例外的な制度に頼って授業を受け持っていることになる。
臨免や免外の人数が最も多かったのは北海道の238人。これに鹿児島県(141人)、千葉県(123人)が続いた。技術科を担当教員に占める割合で見ると、和歌山県が最も高く、臨免と免外を合わせると計75.3%に達していた。このほか、▽宮崎県(63.8%)▽大分県(58.2%)▽鹿児島県(55.7%)▽高知県(53.6%)▽青森県(50.3%)▽北海道(50.1%)――の6自治体も臨免や免外が5割を超えていた。一方、東京、群馬、茨城の3都県とさいたま、京都、大阪の3市では、全ての担当教員が普通免許や特別免許を保有しており、地域によって指導体制に大きな差があることが明らかになった。
文科省は今回の調査結果を受け、臨免や免外の教員がいた61自治体に対し、指導体制の改善計画の提出を求めた。大半の自治体が、計画的で着実な教員採用や複数校指導の拡大、免許を持ちながら技術科を教えていない教員の配置転換といった改善策に取り組むとしており、28年度には全ての自治体で臨免や免外を解消できる見通しとなっている。文科省は今後、各自治体の計画の進捗(しんちょく)状況についても確認することにしている。