教員の幸福度は高い傾向にあるものの、多くの教員がこの仕事を人に勧めたくないと考えている――。高知県の土佐経済同友会がこのほど公表した県内の教員対象のアンケート結果で、このような傾向が明らかになった。子どもや知人に教職を勧めたくないと回答した教員は、6割以上を占めた。同会は教員の多忙感が背景にあるとし、学校現場の負担となっている調査業務を取捨選択するシステムや、保護者の過剰な苦情を外部の専門家につなげるサポートセンターの設置を求めた。
アンケートは昨年5月から8月にかけて、高知県内の小中高などの教員563人がオンライン経由で回答した。
その結果、7割以上が「幸福」または「どちらかというと幸福」と回答し、幸福度は高い傾向にあった。一方、教員の仕事を子どもや知人に勧めたくないと回答した人は60.9%に上った。クロス集計したところ、「幸福」「どちらかというと幸福」と回答した人のうち、「勧めたくない」と回答したのは53.7%、「どちらかというと不幸」「不幸」「すごく不幸」と回答した人では72.1%が「勧めたくない」と回答した。
この背景について、同会は教員の多忙感が影響していると分析。アンケート結果では必要な多忙対策について多い順に、▽教員の人材育成・研修▽保護者への対応▽不登校問題――と続いた。
同会はこれらの結果を踏まえ、学校現場の負担となっている調査業務を取捨選択する「多忙感解消支援委員会」と、保護者の過剰な苦情や支援が必要な児童生徒の対応などを支援する「学校問題解決サポートセンター」の設置を県教委に提言。特に「学校問題解決サポートセンター」は、いじめや不登校、保護者の過剰な苦情など教員から寄せられた相談を各種専門家に取り次ぐ機能を担うことを想定している。
同会GKH(高知県民総幸福度)委員会の中澤清一委員長は「教員の生の声を拾えた。高知県だけなく、全国の教員がこのようなことで苦しんでいるのではないか」と述べた。