食品ロスへの関心を高めてもらおうと、茨城県取手市は2月19日、市内にある江戸川学園取手中・高校の調理同好会の生徒が同市と共同で考案した献立を、市立幼稚園、保育所、市立小中学校などの給食で提供した。普段捨ててしまう部位も活用したり、食べ残しが少なくなるようにしたりと工夫が凝らされ、茨城県の食材もふんだんに活用された。
取手市では普段から食品ロスについて子どもたちに考えてもらうきっかけづくりのため、一部の根菜の皮をむかずに調理した給食を学校で提供するなどの取り組みを行っている。また、江戸川学園取手中・高校調理同好会では、県内の高校で初めて家庭で余っている食料品を持ち寄り、地域の福祉団体や施設に提供する「フードドライブ事業」に取り組んでおり、2022年までに生徒や教職員から集めた1281㌔のレトルト食品を市に寄付している。
こうしたつながりから、調理同好会の有志の生徒による献立の共同開発の企画が持ち上がった。昨年6月に生徒らは市立永山小学校を訪問し、子どもたちと交流したり、栄養教諭から給食のつくられ方を聞いたりしながら、献立の検討を進めてきた。
取手市内の小中学校の給食は自校方式とセンター方式があることから、両方の方式で調理できるメニューとして、最終的に「とりとりおから丼」「おひたし」「茨城をたべようみそ汁」に決まった。「取手」と「鶏肉」から命名した「とりとりおから丼」は、生徒の提案を受けて食べ残しが少なくなるよう、鶏肉はそぼろに、廃棄されることの多いおからやシイタケの軸も入れ、食品ロスの削減につなげた。「おひたし」や「茨城をたべようみそ汁」は茨城県で収穫量の多い野菜などをふんだんに使用し、ニンジンやゴボウは皮をむかずに入れた。みそ汁の出汁殻は「おひたし」にかけるかつお節にも利用しているが、これも生徒からの発案だという。
この日、市立永山小学校の6年生と調理同好会の生徒は一緒に給食を囲んだ。食べ始める前、調理同好会副部長で、高校2年生の神山璃奈さんは「今日は、長ネギの青い部分やおから、出汁殻など、普段捨ててしまうことが多い食材を使用している。昨年6月に永山小学校へ来たとき、緑の野菜が残っていることが気になった。今日は、嫌いでも一口でも食べてくれるとうれしい」と呼び掛けた。
同小6年生の原田甲樹さんは「家で1回だけ、おからの煮物を食べたことがある。おからには苦手意識があったけど、今回はお肉と混ざっていたので、おいしく食べることができた」と感想を話した。
開発された「とりとりおから丼」などのメニューは市立小中学校をはじめ、江戸川学園取手小学校、市立幼稚園・保育所、私立保育所で出されたほか、市内の一部飲食店でも提供された。