学校の安全対策を議論している文部科学省の有識者会議は2月27日、2023年度最後の会合を開いた。6月から2つのワーキンググループで検討を進めてきた、「学校における安全点検要領」の骨子案と、学校での事故発生時に学校や教育委員会の対応を示した「学校事故対応に関する指針」の改訂案について報告を受けた。安全点検要領では教職員の負担軽減の視点を取り入れたほか、指針では国や教委の役割についても明記した。
今回新たに策定された「学校における安全点検要領」は、学校の施設や設備に起因する事故を防ぐ狙いで、専門的な知見がある外部人材を活用するなど、教職員の負担軽減を踏まえつつ安全点検の在り方を示した。具体的な安全点検の方法を動画付きで説明したほか、点検の頻度や対象についても整理した。
ワーキンググループの主査を務めた小川和久委員(東北工業大学総合教育センター教授)は「現場の教職員の負担感や意識の差が、普及のネックになると思っている。安全管理と安全教育は両輪だと考えているが、管理面が強くなると、より負担感を感じてしまうのではないか。安全管理と安全教育が両輪として機能していることを、教職員に示していく必要がある」と語った。
一方、「学校事故対応に関する指針」は学校における事故の未然防止や、事故発生時の対応、事故発生原因の究明、被害児童生徒の保護者への支援などの対応に取り組む際に参考になるものとして、16年3月に作成された。改訂案では、登下校中を含めた学校の管理下で発生した死亡事故、生命に関わる重大な事故は全て各学校から教委を通じて国に報告することが定められた。また、事故後に調査を行う場合は、国が必要に応じて助言などの支援を行うことや、被害児童生徒の保護者に対して教委などが設置する「支援担当者」が中立な立場で支援にあたることなどを示した。
ワーキンググループの主査を務めた藤田大輔委員(大阪教育大学教授)は「設置者の責務、国の参画が明記されたことで、学校現場でもスムーズに対応が進められるのではないかと期待している」と述べた。