どうなる「部活動の地域移行」~岡崎市教育委員会の取り組み~

どうなる「部活動の地域移行」~岡崎市教育委員会の取り組み~
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 今、なぜ部活動改革が必要とされるのか。近年、深刻な少子化が進行する中、チームスポーツなど部員数が不足して試合に出られなかったり、部活動設置数が減少し、やりたい部活動がなかったりといった状況が見られること。また、教員の「働き方改革」の一環で部活動の在り方が問われているということなどがあげられる。スポーツ庁、文科省は、2023年度からの3年間を「改革推進期間」と位置付け、土・日曜日の活動を学校管理下から切り離し、地域のクラブ活動へと移行させていくこととしている。試行錯誤を重ねる自治体が増えている中、学校ごとから地域ブロックごとの実施へと段階的に移行する岡崎市の取り組みを紹介する。

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 岡崎市内約11000人の中学生、約1500人の教員が関わる部活動を地域移行することは、大変な困難がある。国や県では部活動の地域移行についてのガイドラインが示されているが、本市では、中学校における部活動の地域移行に向け、近隣の学校を同じブロックとして市内8つのブロックに分け、中学校ごとの部活動をブロック単位で行う地域ブロック部活動を、岡崎モデル「3段階プラン」として昨夏から進めている。

1.地域ブロック部活動の目的

 地域ブロック部活動の目的は、全ての子供が、スポーツ・文化芸術活動に主体的に取り組めるよう、現在ある部活動を生かしながら地域移行し、本市が大切にしてきた教育としての部活動を生かす形にすることで、子供の健全育成を目指すことである。

2.地域ブロック部活動「3段階プラン」

 地域移行をスムーズに行うために、「子供の活動」「活動場所」「運営主体」の3段階を7年以上かけて進める「3段階プラン」を考えた。

 (1)子供の活動の地域移行(23~25年度)

 23年度の新チームから3年かけて、比較的設置数の少ない部活動から段階的に地域ブロック部活動へ移行する。市内20校を8ブロックに分ける。設置数の少ない部活動は4ブロック、2ブロック、1ブロックでの活動となる。

 (2)活動場所の地域移行(26~28年度)

 「活動場所の地域移行」では、主に学校施設を使う「学校施設活用型」、公共の運動施設や文化施設を使う「公共施設活用型」を考えている。公共施設を使うことによって、例えば400メートルトラックを使って陸上競技をしたり、広いグラウンドで野球をしたり、芝生のグラウンドでサッカーをしたりすることができ、子供のスポーツ環境は今よりもはるかによくなる。

 (3)運営主体の地域移行(29年度以降)

 「岡崎市地域ブロック運営本部(仮称)」を設置する。本本部は、産学官民共同運営とし、指導者の管理・監督・指導や、子供たちの活動にかかる費用などの金銭面の管理などを行う。この時点では、学校管理下内で行っていた全ての地域ブロック部活動を、学校管理下外で行うものとしていく。「運営主体の地域移行」が最も困難度の高い段階になるので、第2段階に入る26年度から3年間かけて準備を進める予定である。

3.地域ブロック部活動のメリット

 25年度の新チームからは、在籍校にある部活動だけでなく、市内の中学校に現存する全ての部活動に参加することが可能となる。従って、子供は幅広くスポーツ文化芸術活動に親しむことができる。また、市内のさまざまな人と関わることができるようになったり、企業と連携することでトップアスリートから直接指導を受けたりすることができる。大会にもブロック単位で参加するため、人数不足でチームを組めなかった学校の生徒も出場が可能になる。さらに、公共施設の利活用と学校の分散活用をすることで、より恵まれた環境下で活動することができる。

4.地域ブロック部活動の最終形

 運営主体として、「岡崎市地域ブロック運営本部(仮称)」を設置し、産学官民共同の運営とする。29年度には、完全に学校管理下外の活動とするため、兼職兼業による教員の参加も可能となる。

 参加する生徒は、学校終業後一度帰宅し、各活動場所へ移動する。移動方法は、徒歩や自転車、公共交通機関、保護者の送迎となる。活動は、最大で1週間のうち平日は2日、2時間までとする。休日は、土日曜日のどちらかで3時間までとする。

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 段階を追うことで、困難である地域移行を比較的スムーズに進めていこうとする岡崎市独自の取り組みにより、全ての子供がスポーツ・文化芸術活動に主体的に取り組み、健やかに育っていく姿を目にすることができる日を願っている。

 部活動の地域移行の目指す姿は、(1)将来にわたり子供たちにスポーツ・文化芸術活動に親しむことができる一層豊かな機会を確保していく(2)学校の働き方改革を推進し、学校教育の質を向上させる(3)地域の持続可能で多様なスポーツ・文化芸術環境を一体的に整備し子供たちの多様な体験機会を確保する――ことである。

 

 

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