県では、2025年度から県立学校での併設型中高一貫教育を導入します。中高6年間の学校生活の中で、計画的・継続的な教育課程を展開することにより、生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的していますが、あなたは小中学校の教頭としてどのような対応が必要と考えますか。県の構想を踏まえて具体的に述べなさい。
1998年の学校教育法改正に伴い、中高一貫教育が制度化された。中高一貫教育は、子どもの個性を尊重した教育や多様な中等教育を実施することを目的としており、6年間を見通した学びが可能となった。
愛知県では25年度から「チェンジ・メーカー」の育成を目指し、県立学校での併設型中高一貫教育を導入に向けてさまざまな準備が進められている。
論題には、併設型中高一貫教育の導入について、(1)どのように児童・生徒、保護者に中高一貫教育の主旨や日程を伝えていくか(2)県の構想を踏まえた授業の在り方――の2点で、教頭としてどう対処するかを書き述べていきたい。以下にその具体例を示す。
愛知県では併設型中高一貫教育の導入が25年度から始まる。今までその導入に向けて県教育委員会のホームページや学校説明会などでさまざまな情宣が行われてきた。しかし、学校現場では中高一貫教育の導入に対応した取り組みが十分に行われているとは言い難い。これからの学校は、多様な他者と協働して新たな価値や目的を創造できる人材を育成するため、子どもに多様な学びを保障し、主体的で協働的な学びを存分に行える環境整備が喫緊の課題である。そこで私は教頭として、校長の意を汲み、中高一貫教育の主旨を児童・生徒、保護者及び教職員に伝え、子どもの多様な学びを保障する体制作りを目指す。
愛知県が進める県立中高一貫校教育は、第一次導入校として県内4校が選ばれ、25年度開校に向けて着々と準備が進められている。この中高一貫教育は、中高6年間の探究学習を通して、答えのない課題に対して問い続け、積極的にチャレンジする生徒の育成を目的としている。そこで私は、教務主任と連携し、本校における子どもの学び方を今一度見直し、授業の中で探究学習が行われているか確認する。また、探究学習を多く実践している教師の授業を若手教員が参観できる機会を設けたり、授業研究会を開いたりしながら、本校における子どもの学び方が、子どもの実態に合わせて多様な学びになっているかを確認する。このように、本校における授業での学び方を見直し、探究学習を通して、子どもの個性や創造性を伸ばす教育に尽力することが、中高一貫教育に結び付くと考え、本校での実践を重ねていくことが大切である。
愛知県では21年12月に策定した「県立高等学校再編将来構想」に基づき、地域の特性にあった中高一貫校の設置についての提案があった。そして議論を重ねたうえで25年度より第一次導入校の4校が決定し、その準備が進められている。私は一早くその情報を掴み、本校の児童・生徒、保護者、教職員に伝えてきた。しかし、その情報が全員に伝わっているか、児童・生徒のニーズに全て応えられているか心配な面が多くある。そこで私は教頭として、今一度、中高一貫教育の情報を掴み、全ての方に伝わるよう、進路指導主事や教務主任と連携し、分かりやすい資料作成の指示を出す。中高一貫教育導入の主旨、概要や、第一次導入校の資料の手配、学校説明会や入試情報の連絡、申し込み方法などさまざまな情報を整理し伝えることが大切である。この取り組みを通して、県の進める中高一貫教育の情報を的確・迅速に伝えることを心がける。
中高一貫教育の導入を控え、学校と関係諸機関との連携も不可欠であると考える。このことから、私は教頭として、校長の指示を仰ぎながら、学校と関係諸機関との連携を模索していく。具体的には、中高一貫教育について専門としている大学の教授や教育委員会の方を招聘し、研修会を開くようにする。また、第一次導入校と連携し、資料送付を一早くお願いし、連携を深めていく。このように管理職が積極的に関係諸機関と連携を深め、中高一貫教育の主旨を伝えていきたい。そのうえで児童・生徒の多様な学びが保障され、社会が加速度的に変化し続けても、さまざまな人と協働しながら課題解決に向けてチャレンジし、社会に変化を起こす人材の育成に取り組んでいきたい。
愛知県が進める中高一貫教育の取り組みを主旨や入試情報を含め、的確・迅速に伝えることが、学校が取り組むべき喫緊の課題である。私は教頭として校長の経営方針の下、愛知県が進める中高一貫教育の取り組みを、児童・生徒、保護者、教職員に丁寧に説明し、全ての子どもが多様な学びを保障できる環境整備に、全身全霊をかけて取り組んでいく覚悟である。