夢中になって目を輝かせる子どもたち 「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現する学校づくりを通して 名古屋市立山吹小学校

夢中になって目を輝かせる子どもたち 「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現する学校づくりを通して 名古屋市立山吹小学校
山吹セレクトタイムで話し合いながら学習を進める様子
【協賛企画】
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「当たり前」への挑戦

 私たち教員は、よい授業を目指して努力を重ねてきた。同時に、「すべての子にとってよい授業」を行うのは、とても難しいことであると感じていた。子どもたちは、一人一人興味や関心、学習のペース、到達度が異なるのに、従来の「一斉授業」では、授業の内容や方法を絞らなければならないからだ。

 そのような課題を踏まえ、令和3年度より、ナゴヤ・スクール・イノベーション事業の実践校として取り組みを始めた。「夢中になって目を輝かせる子どもたち」の姿を目指して、これまで当たり前だった一斉授業にとらわれず、個別最適な学びと協働的な学びを実現する学校づくりを進めた。

 今回は、本校の取り組みの柱となっている2つの活動を中心に紹介する。

YST(山吹セレクトタイム)

 子どもたちが自分に合ったペースや方法で学ぶことができるよう、自由進度学習「YST(山吹セレクトタイム)」を実施している。YSTでは、まず、翌週の予定を記した「週計画」と単元の目標や時間数の目安、学習の進め方などを記した「単元進度表」を教師が示す。そして、子どもたちはそれらを基に、1週間の時間割を立てる。

 単元の最初の授業では、一斉に行う「インストラクション」を通して日常生活との関わりや単元の目標などを共有し、子どもたちの「やってみたい」「知りたい」という気持ちを引き出すようにした。その上で、目標をルーブリックとして詳細に示すことで、子どもたちが成果を確認しながら、見通しをもって自ら学びを進めることができるようにした。

 YSTでは、まとめや探究的な学習に多くの時間を費やしている子もいれば、一問一問丁寧に考えたり、必要に応じて既習の内容に戻って確認をしたりする子も見られた。このように、子どもたちは、学習の方法やペースを自己選択・自己決定しながら、主体的に学びを進めることができている。

ふれあい活動

 1~3年生、4~6年生で「ふれあいグループ」を構成し、探究的な活動を進めた。年齢が近い異学年の子ども同士でグループを組むことで、活発な交流や新たな考えを生み出すことにつなげられるようにした。また、3学年ごとにグループをつくることで、6年間で、リーダーとフォロワーの立場を複数回ずつ経験することができるようにした。

 探究活動として、ふれあいグループごとに店や仕事体験ブースを催す「キャリア・フェスティバル」を実施した。グループでさまざまなアイディアを出し合ったり、協力して店の準備や運営を行ったりするなかで、関係を深めるとともに、キャリア形成につなげることができた。

終わりに

 YSTの時間に真剣な表情で学習を進めている姿やキャリア・フェスティバルで自分たちの考えた企画を生き生きと運営する姿など、何気ない子どもたちの姿こそが、本校の目指している「夢中になって目を輝かせるその子どもたち」だと感じている。

 今後もこうした子どもたちの姿を引き出すことができるように、挑戦を続けていきたい。

  (文責・山内敏之校長、執筆・犬飼倫友希主幹教諭)

 

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