本校は開校11年目の小中併設校である。昨年度、「仲間とともに学びを深める竹っ子の育成」をテーマに学習指導の研究発表を行った。今年度は通学区域変更で、新たに126人の仲間が加わり、教職員も多くの入れ替わりがあった。こうした中、研究成果の更なる定着と課題の解決に向けて、引き続き実践を積み重ねている。
研究の手だては、引き続き「振り返り・問い・外化を意識した授業」である。1学期は、新メンバーがこの手だてを理解し、実践できるよう模範の研究授業を行い、協議会を行うことからスタートした。本校の協議会は「3+1授業検討法」である。3つの成果と1つの課題を挙げて行うこの手法は、授業者の奮闘を労い、改善点を全員で検討する有意義な場となっている。昨年度までの2年間で全43回の実績があるが、今年度はまず、10月の初任者研修公開授業と学校訪問に照準を合わせ、2学期から、研究授業と授業検討会を積み重ねることにした。検討会における共有事項は毎回教務主任が「現職通信」にまとめ、共通理解を深めた。これらを基に、自己を振り返り、前向きに授業改善に取り組む教員集団が再構築されている。公開授業当日、研究発表後から取り組みが途切れることなく、全職員が同じ目標に向け、共に切磋琢磨し合えていること、児童が生き生きと学び合っていることを認めていただけた。
今年度の「振り返り」は、国語科と算数科以外の教科にも適用を広げている。導入時は、児童の振り返り用紙の記述を活用し、児童の言葉を引き出しながら本時の目当てを設定する。更に、本時に必要な既有の知識を引き出し、知識の再構築が進むようにしている。終末時は「課題解決の手がかり」や「今後の展望」といった視点を具体的に示して行い、自ら学びをつなげていくことができるようにしている。
児童の考えを広げ深めさせる「問い」の中でも、特に「渾身の主発問」は、昨年度までに考え抜いたものであり、流用していく案もあったが、今年度になって、更に「考えたい」という思いを引き出させる、ややハードルの高い発問を追求し続けている。
「問い」に対応する「外化(考えを話したり書いたりして他者に伝えること)」も、既有知識を想起させるとき、自分の考えに自信をもたせるとき、新たな知識を得るときなど、状況に応じて効果的に取り入れる試みを続けている。これにより、一部だけでなく全員が参加する、当たり前のようで実は難しい授業が実現している。昨年度、課題として残ったペアの外化が、伝え合う活動にとどまりがちな傾向に対しては、対話を生む言葉の使い方を掲示し、働きかけている。
本研究の手だては、どの学校のどの学年でも容易に取り入れることができると考えている。本校を訪れた初任教員からも、「すぐに実践してみたい」「振り返りの項目をもっと教えてほしい」といった声が挙げられた。
今後も、本研究の手だてを継続しつつ進化させ、教職員も児童も、ともに高め合う「チーム竹小」として歩みを進めていきたい。
(文責・内藤幹洋校長、執筆・池之野博美教務主任)