これからの時代をたくましく生き抜くために、子どもには、自ら問いを見いだし、他者と協働しながら、問題を解決できるようになってほしい、と私たちは願う。そして、他者と協働することの必要性を学ぶために、「対話的な学び」に力を入れる必要があると考え、研究主題を「地域で学び、友と高め合う大蔵っ子の育成」とし、めざす子どもの姿を「他者との対話を通して、自分の思いや考えを確かにし、主体的に学びを深める子」と設定して研究に取り組むことにした。
めざす子どもの実現に向けた手立ては、(1)地域連携(2)対話的な学び(3)対話トレーニングの3つである。(1)では、地域の「山法師の会」の皆さまにご協力いただき、校区のヤマボウシの保全活動「ヤマボウシ大作戦」を実施している。また、クラブ活動の講師や読み聞かせボランティア、体験的な学習の講師などにご協力いただいている。(2)では、「大蔵スタイル」(「問い」「対話」「振り返り」のサイクル)を意識した授業づくりに取り組んだ。また、昨年度からICT機器を活用し、近隣の4校とのオンライン合同学習づくりにも取り組んできた。さらに、自らの学びを確認することに加えて、「仲間の考えのよさ」についても振り返る機会を設けた。これによって、仲間の意見を大切にする気持ちを高めるとともに、対話的な学びのよさを実感できるようになってきた。(3)では、朝の帯学習の時間を活用して、対話する技能を身に付けるために、ペア(グループ)で、「問答ゲーム」を実施した。聞き手が質問をし、話し手は自分の考えをまとめ、理由を加えて相手に分かりやすく説明をするという活動である。聞き手は、主張を正しく聞き取り、それを受けて新たに質問をする、という流れで実施する。今年度は、さらに対話力を高めるために、全校対話集会で異学年での対話を行い、対話的な学びのよさを実感できるようにした。トレーニングを継続することで、対話の技能が高まり、自信をもって話すことができるようになってきた。
5・6年生国語科では、「『弱いロボット』だからできること」の学習を行った。近隣の小規模校4校と足助研究グループをつくり、ICT機器を活用してオンラインでつなぎ、対話の規模を拡大し、対話的な学びを充実させられるようにした。教科書の内容をもとに「足助地区に必要なテクノロジー」についてみんなで話し合った。弱いロボット「ニコボ」を開発したパナソニックの方にも授業に参加していただき、広い視野での話し合いができた。「みなさんはどう思いますか」など、他校の仲間に問いかける姿も見られ、対話を通して学びを深めている様子であった。「相手の意見を聞き、自分の考えが変わった。これから話し合うときには、意見をしっかりと聞きたい」という授業の振り返りからも、対話的な学びのよさを実感できたことが伝わってきた。
(文責・野場晶寛校長、執筆・熊谷等主幹教諭)