大学院で学んで教員になった人の奨学金返済を免除へ 政府検討

大学院で学んで教員になった人の奨学金返済を免除へ 政府検討
iStock.com/Edwin Tan
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 教員志願者が全国的に減少傾向にある中、質の高い教員を確保していくため、政府は大学院で学んだ後に教員になった人を対象として、奨学金の返済を免除する制度を設ける方向で調整に入った。関係者への取材で判明した。教職大学院へ進んだ後に教員になった場合、日本学生支援機構の無利子の貸与型奨学金(第一種奨学金)の返済を免除する。教職大学院以外の大学院を修了して教員となった場合も、一定の条件を満たせば支援対象としたい考えだ。

 中教審は3月19日に教員養成部会を開き、開始時期なども含めた制度の大まかな方向性を示す。新たに教員になる人を増やすことを目的としているため、現職教員が教職大学院で学ぶケースなどは支援対象とならない見通し。また、同部会の中には「大学院修了者だけではなく学部卒業者も支援対象にすべき」との意見もあり、学部卒の取り扱いも焦点となる。

 盛山正仁文科相は同13日の衆議院文部科学委員会で「教職大学院生を対象に教師の職に就いた者への返還免除を実施することで、高度専門職としての社会的地位の向上を図っていくことが考えられる」と答弁。さらに、「多様な専門人材を確保する観点から、教職大学院以外でも教職志向の高い大学院生を返還免除の対象に含めていくことも検討すべきだ」と述べている。

 日本学生支援機構の前身である旧日本育英会の貸与型奨学金には、教員になった場合に返済が免除される制度があったが、大学生は1998年度入学者から、大学院生は同機構が設立された2004年度の奨学生採用者から廃止された。自民党や公明党からは制度の「復活」を求める声が上がる一方、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が昨年11月にまとめた建議は「免除後すぐの離職を防ぐ必要など、解決すべき多くの課題がある」とけん制していた。

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