児童生徒の自殺予防、SCの配置など見直しを 文科省協力者会議

児童生徒の自殺予防、SCの配置など見直しを 文科省協力者会議
委員からは、学校の体制の見直しを求める声が相次いだ=オンラインで取材
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 自殺予防教育のモデル構築に向けて議論を進める文部科学省の調査研究協力者会議が3月15日、今年度最後の会合を開催した。小中高生の自殺が依然として高止まりする中で、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)など専門職の配置不足が問題視されたほか、教職員だけで対応することの限界を指摘されるなど、現状の学校体制を抜本的に見直すよう求める声が相次いだ。

 児童生徒の自殺を巡っては、厚生労働省がまとめた暫定値によると2023年は507人に上り、高止まりの状態が続いている。こども家庭庁など関係省庁は昨年6月「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を取りまとめ、「学校が行うSOSの出し方に関する教育を含む自殺予防教育のモデル構築や、啓発資料を国において作成・周知を行う」とした。それを踏まえ設置された同会議では、自殺予防教育の在り方について議論を重ねてきた。これまでも、教員不足や業務過多が弊害となっていることや、児童生徒を十分にケアするための専門職が不足していることなどが委員から指摘されてきた。

 この日の会合では、新井肇委員(関西外国語大学外国語学部教授)が「自殺予防教育を幅広くやろうとしていくことが、教職員に対して負担感を持つことにつながらないだろうかと」と問題提起。「例えばハイリスクの児童生徒の命をどう守るか考えたときに、教職員だけでは厳しいように思う。本当に今の学校の体制でできるのだろうかと引っ掛かる」とし、SCやSSWの配置不足など学校現場の人員不足を指摘した。

 窪田由紀主査(九州産業大学学術研究推進機構科研費特任研究員)も「専門職の配置が圧倒的に不足している。少ない学校だと、SCが月に1回4時間というところもある。そういう中で教職員の負担は大きいだろう」と述べた。

 続いて、宮田正博委員(東京都板橋区立上板橋第二中学校校長)は「ただ残業時間を減らすための教職員の働き方改革ではなく、児童生徒にちゃんと向き合えるための働き方改革の余裕を持たせることが必要。授業も一斉から個別に代わるなど教職員の働き方が変わっている中で、(学校の)体制が変わっていないことが一番の問題だと思う」と求めた。

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