全国学力・学習状況調査の在り方について検討している「全国的な学力調査に関する専門家会議」と「全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ(WG)」は3月19日、合同会議を開き、2025年度から中学校の理科を皮切りに進めるCBTの実施方針を議論した。昨年10月にWGが取りまとめた「複数日時に分散して実施」「児童生徒ごとに異なる問題セットを割り当てる」などの方針が改めて示された。25年度の実施状況を踏まえ、中学校では26年以降にCBTで実施する教科を拡大し、小学校でも導入を検討する。
WGは昨年、25年度の中学校理科から順次、IRT(項目反応理論)を活用したCBTを導入する方針を示しており(参照記事:「全国学力調査CBT化、25年から中学校理科で 4日間に分散」)、今回の会合ではこうした方針が上位組織である専門家会議に報告された。
現段階で示されている実施方針は▽GIGAスクール構想により整備された1人1台端末、ネットワークを活用▽文部科学省CBTシステム(MEXCBT)を活用▽全国同日一斉実施ではなく、複数日時に分散して実施▽児童生徒ごとに異なる問題セットを割り当て、IRTを活用して学力を分析▽授業改善のため一部の問題を公表▽調査結果はIRTに基づいて算出されたスコアや分布を基に分析して返却――など。提供される調査結果の具体的な内容については、授業改善に活用できるよう、引き続き検討する。
CBTを導入するメリットとしては「解答データを機械可読のビッグデータとして蓄積できる」「電子データにより配信・回収することで負担を軽減できる」といった点に加え、配慮を要する児童生徒や不登校児童生徒への柔軟な対応を拡大できる可能性があることを挙げた。
文科省の担当者は「子どもたちが回答方式に慣れることは重要。サンプル問題や操作の練習について、各学校で操作に慣れるサンプルを来年度中に示したい」としたほか、トラブルが起きた時の対応について「分かりやすくシンプルなマニュアルや動画を用意することを考えていきたい」と述べた。