全国の特別支援学校で23年度に3359教室が不足 文科省調査

全国の特別支援学校で23年度に3359教室が不足 文科省調査
iStock.com/gyro
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 文部科学省は3月26日、全国の公立特別支援学校で今年度、計3359室の普通教室が不足していたとの調査結果を公表した。前回の2年前と比べて約1割減ったものの、依然として深刻な教室不足が続いていることが明らかになった。多くの自治体が音楽室などの特別教室を別の用途に転用したり、1つの教室を間仕切りで分けたりして急場をしのいでいる。特別支援学校の児童生徒が急激に増えていることが背景にあり、文科省は校舎を改築する際の補助金を通常より上積みするなどして各自治体に対応を促している。

 都道府県や市区町村が設置している全ての公立特別支援学校を対象とし、2023年10月1日現在の状況を都道府県ごとに集計した。①児童生徒の増加などに伴って特別教室を普通教室に転用したり、間仕切りで教室を増やしたりしているケースのうち、授業の実施に支障を来しているために今後の整備が必要な教室数②今後の児童生徒数の増加に伴い、設置者が新たに整備が必要と考えている教室数――の2つを足したものを「教室不足数」と定義している。

 調査の結果、①に該当するケースは2668室あり、②の691室を合わせると、全国の教室不足数は計3359室となった。前回の21年度調査(3740室)からは381室減少したものの、前々回の19年度調査(3162室)を上回った。全国の公立特別支援学校の普通教室と特別教室を合わせた数(計4万8952室)の約7%の水準に達しており、依然として深刻な教室不足が続いていると言えそうだ。

 教室不足数を都道府県別で見ると、東京都が558室で最多。これに大阪府(370室)、千葉県(263室)、埼玉県(189室)、神奈川県(148室)が続いた。このうち大阪府は前回、528室と東京都を上回る全国ワーストを記録したが、今回は大幅に改善した。府教委の担当者は「間仕切りされている教室の防音・遮音対策を進めるなど、授業に支障がないようにするための取り組みを進めた結果だ」と説明している。

 全国的に教室不足がなかなか解消されないのは、特別支援学校の児童生徒数が増加の一途をたどり、学校の新設や校舎の増築が追い付いていないためだ。文科省の学校基本調査によると、幼稚部、小学部、中学校、高等部を合わせた公立校の在籍者数は13年度には12万8738人だったが、23年度は14万7608人に増えた。この間、学級数も3万2714学級から3万6939学級に増加している。

 今回判明した3359室の教室不足のうち、24年度までに解消できる計画となっているのは481室にとどまる。文科省は24年度までの時限措置として、自治体が小中学校などの施設を特別支援学校に改修したり、既存の特別支援学校の校舎を改築して教室を増やしたりした場合、経費に対する国の補助金の比率を通常の3分の1から2分の1に引き上げるなどして、教室不足の解消を促している。同省施設助成課は「学校を新設したり、既存の校舎を改修したりする場合も、計画から完了までには一定の時間を要するため、教室不足を一気に解消するのは難しい。今後も自治体を支援していきたい」としている。

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