普通学校の医療的ケア児 5人に1人は保護者が付き添い

普通学校の医療的ケア児 5人に1人は保護者が付き添い
iStock.com/takasuu
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 幼稚園や小中学校、高校などの普通学校に在籍する医療的ケアが必要な子ども(医療的ケア児)のうち、5人に1人が学校生活での保護者の付き添いを必要としている――。文部科学省が3月26日に公表した2023年度の全国調査の結果、こうした実態が明らかになった。少しずつ改善は進んでいるものの、看護職員の配置不足や学校・教育委員会側の要請によって付き添いを余儀なくされているケースも依然として多く、文科省は保護者負担の軽減に向けた対応を急いでいる。

 調査は、国立や私立も含めた全国全ての幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校、特別支援学校を対象に実施。たんの吸引などが必要な医療的ケア児の23年5月1日時点の在籍数のほか、保護者らの付き添いの状況、医療的ケアを担う看護職員の配置状況などを尋ねた。保護者らの付き添いについては特別支援学校とそれ以外の校種に分けて集計した。

 この結果、特別支援学校を除く普通学校に通っている医療的ケア児は2199人で、このうち426人(19.4%)が学校生活で保護者の付き添いを受けていた。付き添いを受けている比率で見ると、21年度の29.7%と比べて約10㌽改善している。

 付き添いが必要な理由としては、看護師など医療的ケアを担う職員が配置されていないケースが192人で最も多かった。職員が配置されている場合であっても、「保護者が希望している」(82人)、「学校・教育委員会が希望している」(19人)といった事情で付き添いを余儀なくされている事例もあった。

 一方、特別支援学校には6674人の医療的ケア児が在籍していた。このうち、学校生活に保護者が付き添っているのは338人(5.1%)だった。

 21年に施行された医療的ケア児支援法は、医療的ケアが必要な児童が就学する際、保護者の付き添いがなくても必要なケアが受けられる体制整備を学校設置者に求めている。だが、その後も保護者が付き添いを求められるケースが後を絶たず、保護者の離職・休職につながっているとの声もあることから、総務省は3月8日、文科省に対し、付き添いが発生する状況や原因を把握し、市区町村教委に解消を図るよう促した。文科省は24年度、ケアを担う看護職員の確保や配置方法の改善に向けた調査研究に着手することにしている。

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