4月から区立全小中で午後は探究学習 教員負担軽減に向け連携協定

4月から区立全小中で午後は探究学習 教員負担軽減に向け連携協定
連携協定を交わす五十嵐教育長(右)と杉浦代表取締役=撮影:松井聡美
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 4月から全区立小中学校で平日午後の探究学習「シブヤ未来科」を実施するのを前に、東京都渋谷区教育委員会は3月26日、EdTech教材を提供するInspire Highと連携協定を締結した。Inspire Highが提供する動画教材プログラムを活用することで、教員の負担軽減や児童生徒の興味関心の拡大を目指していくとし、同区教委の五十嵐俊子教育長は「子どもたちの学ぶ環境を整えながら、学ぶことは楽しいという渋谷にしていきたい」と述べた。

 同区では、2024年度から文部科学省の「授業時数特例校制度」を活用し、総合的な学習の時間を年間70時間から約150時間に拡充するなどして、平日午後の時間は探究学習「シブヤ未来科」に充てる取り組みをスタートさせる。ただ、実施にあたっては▽教員の負担軽減▽児童生徒が自ら問いを見つけていくきっかけづくり━━などが課題となっていた。Inspire Highは世界とつながる探究的な学びを手軽に教室で実践できる動画教材プログラムを提供しており、今後は各校の目的や要望に合わせたプログラムや、子どもたち一人一人の個人探究を支援する新たな機能を提供していくとしている。

 今回の連携協定について五十嵐教育長は「いよいよ4月から午後の探究学習『シブヤ未来科』がスタートするが、学ぶことは楽しいという渋谷にしたいと思っている。子どもは環境さえ整えば、自分で学ぶ力があると信じている。ただ、その環境を整えることが難しく、今回の連携協定がその一助となると考えている」と話した。

 また、Inspire High代表取締役の杉浦太一氏は「自分の生活と地続きに世界はあるのだということを、動画教材に登場するガイドたちが伝えてくれるだろう。渋谷区の学校教育の中身が大きく変わる中、先生方の負担も大きくなる。動画教材を活用しながら、先生方は子どもたちがどう感じているのか、どう変化しているのかといったことを見とる、子どもたちの伴走に専念してもらえるのではないか。そこをサポートしていきたい」と強調した。

 「シブヤ未来科」について、五十嵐教育長は「1年目からきれいな形ができるとは思っていない」とした上で、「ただ、中には最初から子どもたち一人一人が自分の探究したいテーマを追究していく『My探究』に取り組ませたいというような意欲的な学校も出てきている。この1年、ワクワク感も不安感もあると思うが、こんなふうにやったら面白いんじゃないかと、各校で試行錯誤してみてほしい。来年の今頃は、もっと各校のカリキュラムも具体的に、かつ柔軟になっているのではないか」と学校現場に期待を寄せた。

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