教員は自分の仕事に誇りを感じているが、友人や知人、家族に教員を勧めたいとはあまり思っていない――。人材や組織に関するシンクタンクのパーソル総合研究所が3月26日に公表した「教員の職業生活に関する定量調査」の結果で、このような教員の仕事への意識が明らかとなった。調査では、他業種の正社員と比べて教員は働く幸せを実感しているものの、オーバーワーク傾向にあり、特に20代の教員は他の年代の教員と比べ仕事にやりがいを感じておらず、ストレスを強く感じている「バーンアウト教員」の割合が高かった。
調査は昨年10月6~10日に、20~60代の私立も含めた幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校などの教員と保育園の保育士ら3800人にインターネットで実施した。
その結果、教員の人生満足度は全国の就業者の平均よりもやや低いものの、働く幸せ実感は全国の正社員よりやや高く、逆に働く不幸せ実感は低かった(=グラフ①)。働く幸せを因子別でみると、教員は全国の正社員より「自己成長」「チームワーク」「他者貢献」は高いが、「リフレッシュ」「役割認識」「自己裁量」は低かった。働く不幸せの因子では、教員は全国の正社員より「不快空間」「協働不全」「疎外感」「評価不満」が低いものの「オーバーワーク」は高かった。
「仕事への熱意(ワーク・エンゲイジメント)」と「心理的ストレス反応」から教員を4つのタイプに分類したところ、いずれの校種でも仕事にやりがいを感じ、ストレスをあまり感じていない「ワーク・エンゲイジメント教員」が4割程度を占めていたが、約2割は仕事にやりがいを感じておらず、ストレスを強く感じている「バーンアウト教員」の傾向がみられ、特に20代では31.4%と他の年代より高かった(=グラフ②)。また、教頭・副校長では仕事へのやりがいも、ストレスもあまり感じていない「不活性教員」の割合が約4割に上った。
ほとんどの校種で約6割が「教員であることに誇りを感じる」と答えていた一方で、教員という職業を知人・友人、家族に勧めたいと思うと答えていた教員は2割程度にとどまった。