昨年秋に、「続 窓ぎわのトットちゃん」が出版されたので、早速購入して読みました。ベストセラーとなった「窓ぎわのトットちゃん」から42年を経ての続編です。
続編は、主に黒柳徹子さんが戦争で疎開した以降のことが書かれています。映画化もされているようです。読み終えた後、昔読んだ「窓ぎわのトットちゃん」を再び手にしました。改めて黒柳さんの豊かな感性と人間的な魅力の奥深さを感じずにはいられませんでした。続編もそうですが、昔の出来事がまるでドラマのように新鮮に描写され、揺れ動くトットちゃんの心が手に取るように伝わってきました。黒柳さんはこの中で、「私の人生でトモエ学園時代ほど毎日が楽しいことはなかった」とつづっています。今目指す教育理念は、80年も前にトモエ学園の小林校長先生が実践されていたという驚き。主体的な学びや協働的な学び、生活に生きる体験、子供の人権や個性を大切にするなどの一貫した教育の情景が、はっきりと見えてきます。生き生きと輝くトモエ学園の子供の顔が目に浮かんできました。
「君は本当はいい子なんだよ!」という小林先生の言葉は、黒柳さんの心の中にずっとあり、その後の人生の中で黒柳さんに勇気を与えています。
将来大人になった子供たちの心に生きて残り続ける言葉を、自分はどれだけ残してやれるのか。その子にとって力になれるような言葉を与えていきたいと、強く思いました。
(伊藤悦子・田原市立童浦小学校長)