教員配置の充実策などが盛り込まれた2024年度当初予算案は3月28日の参議院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。これを受けて岸田文雄首相は同日、記者会見を開き、「若い子育て世代への支援に向け、児童手当の抜本的拡充、高等教育の負担軽減、児童扶養手当の拡充、育児休業給付の充実など、長年指摘されながら実現できなかった施策が動き出す。今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現し、来年以降に物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる」などと述べた。
当初予算には文部科学省が所管するものとして、小学校高学年の教科担任制を推し進めたり、小学5年生を新たに35人学級に移行したりするための教員配置の拡充、学校の事務作業などを教員に代わって担う教員業務支援員を全ての公立小中学校に配置できるようにする経費などが計上されている。こども家庭庁が管轄する部分では、支給対象を高校生まで広げることを含めた児童手当の拡充策、保育所の4・5歳児の職員配置基準を子供「30人に1人」から「25人に1人」へと改善するための経費などが盛り込まれている。
24年度予算の成立を受け、文科省は3月29日、4月からの組織改正について公表した。「GIGAスクール構想」によって小中学校に配備された1人1台のデジタル端末の更新やICT活用状況の地域格差の解消など、学校のデジタル化に対処していくため、初等中等教育局の修学支援・教材課を改組し、学校のデジタル化の司令塔機能を担う「学校情報基盤・教材課」を設置する。
また、日本語学校の教育内容や施設を国が審査して認定する新制度を定めた法律が4月から施行されることに対応し、総合教育政策局に「日本語教育課」を新設する。これまで文化庁が担っていた関連業務も同課に移管される見通しだ。小中学校や高校に通う外国ルーツの子供たちに対する日本語教育を含めた支援は、引き続き国際教育課が担う。