不祥事裁判傍聴、横浜市教委が動員 「行き過ぎた対応」と謝罪

不祥事裁判傍聴、横浜市教委が動員 「行き過ぎた対応」と謝罪
iStock.com/nirat
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 横浜市教育委員会は5月21日、教員による性犯罪事件の裁判に多数の教育委員会事務局職員を動員して傍聴させていたと発表した。4件の公判で計11回、最大で50人を動員したといい、市教委は「被告となった教員をかばうためではなく、あくまでも被害者のプライバシーに配慮しようとしたものだが、行き過ぎた対応だった」と謝罪。今後はこのような傍聴の呼び掛けを行わないとしている。また、22日には同市の下田康晴教育長が市議会こども青少年・教育委員会で「今月、事実関係を知り、すぐにやめるよう指示した」と明らかにし、今後、弁護士を交えて経緯を調査する意向を示した。

 市教委によると、2019年と23、24年に行われた教員による児童生徒へのわいせつ事件の裁判4件を巡り、職員に対して公判前に文書で傍聴参加を呼び掛けたという。組織的な動員で、文書には「関係者が集団で傍聴に来たことが分からないように裁判所前での待ち合わせは避ける」「裁判所内でお互いに声掛け、挨拶、会釈は避ける」「裁判所内や近くで被害者名、校名の口外は控える」といった注意事項が記載されていた。

 市教委は「被害者側から要請を受けた場合、児童生徒のプライバシーの配慮を目的として、職員に傍聴を呼び掛けていた」と説明。19年の公判で、事件を一般傍聴者に知られたくないという被害者の保護者の相談を受けて対応したことがきっかけで、その後も保護者の要請に応じて裁判傍聴の動員をかけていた。

 5月7日に外部からの指摘があり、事実関係を確認した上で20日、裁判傍聴の動員は間違った対応であり、今後はやらないように関係部署に通達した。

 市教委の村上謙介教職員人事部長は「教育委員会事務局職員の傍聴により、一般の方の傍聴の機会が損なわれたことは大変申し訳なく思っている。今後は行わないことを徹底する」とコメント。片山哲夫教職員人事課長は「裁判での被害者のプライバシー保護は証言の際についたてを立て、氏名、年齢、住所を読み上げないなどの一定の配慮がされている。保護者と相談して、裁判所、検察へ申し立てるよう促すのが正しい対応だった」と述べ、今後も経緯などを調査していく意向を示した。

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