東京都教育庁は5月29日、7月から始まる2025年度採用の教員採用試験の応募状況を公表した。応募者数は前年度より949人多い1万414人と1割ほど増加したものの、採用見込者数も増加した影響で、全体の応募倍率は2.6倍と前年度より0.1ポイント減少し、直近20年では一番低い倍率となった。また、前年度から実施している大学3年生前倒し選考は前年度より575人増の3433人が応募している。
来年度の東京都教員採用試験における採用見込み者数は4005人と、直近20年で最多となった。応募者数のうち、新卒は5273人(前年度比125.2%)と大幅に増加。既卒は5141人(同97.8%)だった。
校種別では、英語コースを含む小学校全科での応募者数は2895人。昨年度より292人増えたものの、応募倍率は1.7倍(同0.1ポイント減)だった。中高共通および小中高共通の応募者数は5184人と前年度より363人増で、応募倍率は4.1倍(同0.3ポイント増)だった。特別支援学校の応募者数は638人で、前年度より45人増加したものの、応募倍率は1.1倍(同0.5ポイント減)となった。
また、前回からスタートした一次選考の教職教養と専門教養を大学3年次で受験できる「大学3年生前倒し選考」については、応募者数は3433人と前年度より575人増加。一方、「3年生前倒し通過者選考」の応募者は1468人と、1829人いる昨年度前倒し選考通過者のうち、約8割の応募となった。
今回から新設された、教員経験者で一定のキャリアを積んだ人を対象に主任教諭として採用する「キャリア採用選考」には235人が応募。都教育庁人事部の担当者は「採用見込み者数20人以下のところに、かなり多くの応募があった」と手応えを話した。また、都で教員経験がある人の一次選考を免除するカムバック採用には156人が応募し、前年度より39人増加した。
同担当者は「大学3年生の前倒し選考も含め、さまざまな選考方法の見直しや、PRの強化などの積み重ねによるものではないか」と応募者増について分析。また「3年生前倒し選考」の応募者が昨年度の前倒し選考通過者のうち約8割にとどまったことについて、「スタートしたばかりなので、しばらく経過を見てみないと分からないところはあるが、通過したけれども応募しなかった2割をどうしていくのか、次年度に向けて検討を重ねたい」と話した。