自治体による学校給食費の無償化の実態調査結果が公表されたことを受けて、盛山正仁文科相は6月14日の閣議後会見で、給食費無償化について「次の方向性については、今の段階では決めていない」と述べた。文部科学省では調査を踏まえ、児童生徒間の公平性や国と地方の役割分担、政策効果などの観点や法制面から課題を整理するとしている。
昨年6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」に基づいて文科省が実施した、学校給食費の無償化に関する自治体への実態調査の結果では、昨年9月1日時点で、約3割に上る547自治体で、小中学生全員を対象に学校給食費を無償化していた。
一方で、何らかの形で学校給食費の無償化をしていた722自治体のうち、成果目標の設定や成果検証を実施していた自治体はいずれも2割弱にとどまっていること、給食を実施している学校に在籍していても、アレルギーや不登校などで給食を食べない児童生徒が約28万5000人いること、食材費相当の給食費で比較すると、都道府県間で約1.4倍の開きがあることなどが分かった。
会見で盛山文科相はこうした調査で明らかになった課題を挙げた上で、「学校給食費の無償化については、このような結果を踏まえながら、今後、児童生徒間の公平性、あるいは国と地方の役割分担、政策効果などといった観点や法制面から課題を整理していく」と強調。「次の方向性については、今の段階では決めていない」と説明した。