「学費値上げに断固反対」 東大の学生らが記者会見で訴え

「学費値上げに断固反対」 東大の学生らが記者会見で訴え
文科省で記者会見する東京大学の学生ら=撮影:山田博史
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 東京大学が授業料の値上げを検討していることについて、同学駒場キャンパスの教養学部学生自治会代表など学生有志が6月14日、文部科学省で記者会見を開いた。学生たちは、大学側の値上げ検討について、学生側の声を反映していないことや経済的困窮者が高等教育から疎外されることなどを理由に「断固として反対する」と主張。今月21日に予定されている「総長対話」などを通して、大学側に値上げ検討の取りやめなどを求める考えを示した。

 東京大学関係者によると、同学は来年度に入学する学生から、年間53万5800円の授業料を20%引き上げて約64万円にすることを検討している。

 これについて、東大駒場キャンパスの同学教養学部学生自治会や学生有志でつくる「授業料値上げ問題駒場プロジェクト」の代表者が同日、文科省で記者会見し、この問題に対する学生の対応や意見を表明した。

 同学生自治会が5月末にウェブサイトなどを通して同学の学生を対象に行ったアンケートの結果によると、回答者2297人のうち「反対」と「どちらかといえば反対」が全体の91%を占め、「賛成」と「どちらかといえば賛成」の7%を大きく上回ったという。反対理由では「経済的困窮者が大学教育から疎外されるから」が最も多かった。

 この結果も踏まえ、同自治会理事のガリグ優悟さんは会見で、▽値上げ検討プロセスに学生が参画できていない▽学生の進路選択に不当な影響を与える▽これから入学する将来の学生にも責任を持ち、その利益を代弁する必要がある――などと大学側の値上げ検討に対する反対理由を述べた上で、「学生の進路選択を不当にゆがめる授業料値上げには断固反対し、検討の取りやめとともに学生側でつくる代表団と継続して交渉に応じるよう求める」と強調した。

 同学では今月21日に藤井輝夫総長と希望する学生たちによるオンラインの「総長対話」が予定されており、ガリグさんらは発言の場があれば、値上げ検討の取りやめや継続した交渉の場を設けることを求めることにしている。

 一方、藤井総長は6月10日、同学のホームページに「授業料の値上げに関する報道について」と題するコメントを掲載。この中で、「学生の学習環境を維持・改善する費用を安定的に確保するため、過去3年にわたりさまざまな施策に取り組んできた。そうした中で国立大学法人化以降20年間据え置いてきた授業料についても、その改定を検討している」とした上で、「ただし、もし値上げをする場合には、経済的困難を抱える学生への配慮は不可欠で、授業料免除の拡充や奨学金の充実などの支援策も併せて実施しなければならないと考えており、その具体的な仕組みも検討している」と説明している。

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