学校施設づくりの新アイデア集を検討 災害時利用も議論

学校施設づくりの新アイデア集を検討 災害時利用も議論
ウェルビーイングを実現するための学校施設づくりに向けたアイデア集などについて議論した調査研究協力者会議=オンラインで取材
【協賛企画】
広 告

 これからの学校施設づくりなどについて検討してきた文部科学省の調査研究協力者会議(主査・荒瀬克己教職員支援機構理事長)は6月18日、最終回となる第6回会合を開き、ウェルビーイングの実現に向けた学校施設づくりのアイデア集の案について検討した。この中で、能登半島地震の際に学校が避難所として使用された例が取り上げられ、災害時の学校利用などについても意見が交わされた。

 この調査研究協力者会議では、昨年2月に「学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループ」を設置。委員らが全国各地の学校を視察し、今後の学校施設づくりの在り方を紹介するアイデア集の作成に向けて議論してきた。

 この日の会合では、そのアイデア集の最終案が示され、31都道府県の72校の事例をもとに、「共創」「生活」「学び」「環境」「安全」の5つの側面に分けて、学校施設づくりの事例やコラムの一部が紹介された。このうち、「共創」の例では、地域住民や児童が設計や施工に関わったり、校舎の一部を地域開放したりしている学校の取り組みなどを取り上げた。

 また、コラムでは、能登半島地震で石川県七尾市の小学校2校が避難所として利用された例を掲載。体育館にエアコンが整備されておらず、はじめ地域住民は教室などに避難したことや、トイレを洋式化していたため、凝固剤を用いた簡易トイレを設置できたことなどを解説した。大津波警報が発表され、地域住民は小学校の屋上への避難を試みたが学校の鍵が開いていなかったため、ガラスを割って中に入ったことも触れられ、災害時に避難経路を決めておくことの重要性を指摘した。

 各委員からは大地震などの災害時の対応について、「各学校にどのくらいの数の避難者が来たのか、学校の規模はどのくらいだったのかなども書き足せるか」「避難所になると同時に学校が再開されることも多いので、どのように空間を割り振るかや、災害の大きさや来る人数によっての空間計画、事前復興計画が必要だ」「学校施設が避難所となると、教職員にとっては職場と生活の場が一緒になる。救援物質の受け取りや仮設住宅への移動が遠慮もあって最後の方になるなど、避難所での生活と職場が一緒になることで生じる問題がある」などの意見も出された。

 委員らから出された意見を反映した上で、アイデア集は7月に文科省のホームページに公表される。

広 告
広 告