管理職研修「審査論文をどう書くか」(119)

管理職研修「審査論文をどう書くか」(119)
【協賛企画】
広 告

論文テーマ

 学校が抱えるさまざまな課題に対しては、教員が個々に取り組むだけでなく、専門的な力を生かし、組織的に対応する必要があります。あなたは教頭として、集団を組織として機能させるために、どのように学校運営に取り組みますか。校種の特徴と現任校の状況や課題を踏まえ、具体的に答えなさい。

 

 現在、教育現場が抱える課題として、多様化する子供たちへの対応、長期欠席児童・生徒の増加、学力低下への対策、教員の資質向上と長時間労働の解消、ICTの活用、過度な要求をする保護者への対応などが挙げられる。このような多岐にわたる課題を個人で解決することは難しく、組織的に対応していく必要がある。

 論題には学校が抱えるさまざまな課題に対して、①集団を組織としてどう機能させるのか②校種の特徴、つまり小学校や中学校、特別支援学校などの特徴を踏まえて、現任校の状況も鑑みて、教頭としてどう対処するか――を具体的に書き述べていきたい。以下にその具体例を示す。

はじめに

 長期欠席児童・生徒は年々増加し、特別な支援を要する児童・生徒も増加している。多様化する子供たちへの対応は教育現場の喫緊の課題である。

 また、多様化する子供たちへ対応するための教員の資質向上、教員が健康に働くことのできる労働時間を含めた職場環境の整備も解決していかなくてはならない課題である。

 子供が健やかに成長するためには保護者や地域の理解と協力は必要不可欠である。

 このように多岐にわたるさまざまな課題を教員一人で解決することは難しく、学校が組織として対応することが大切である。校長の教育理念のもと、子供たち一人一人を大切にし、教員がやりがいをもって働くことのでき、保護者や地域に信頼される学校を目指し、次の3つの方策をもって教育活動にあたりたい。

①組織で子供に対応

 中学校はもちろん小学校にも教科担任制が取り入れられるようになった。子供たちにより専門的な学習を行うためだが、複数の教員の目で子供たちを見守ることができるようになった。そこで、月1回の職員会議の際に子供の情報交換の場を設定する。一人の子供に対して複数の教員から情報を提供するようにして、いろいろな角度から子供を理解できるようにする。対応方針もその場で話し合い、職員全員が共通理解のもと子供の指導にあたれるようにする。子供の変化を感じたら、すぐに生活指導担当教諭か教頭に報告するようにし、必要に応じてケース会議を開き対応を検討する。長期欠席やいじめなど早期に対応することで問題が大きくなる前に解決できることが多い。長期欠席の新たな一人を出さないよう、子供のトラブルが大きくならないよう早期の報告・対応体制を確立させたい。

②研修と教員把握

 「授業がよく分かる。楽しい」そう考える子供は学校を休まない。分かる授業、楽しい授業をするために学び続けることは、教員にとって一番大切なことである。現任校では、教員経験3年目未満の教員が担任の半分以上を占めている。同じような教員構成の学校が昨今増えていると思われる。そこで、教務主任と協力して、授業力を上げるための研修やICTなどを活用した授業づくりの研修などを計画する。また、外部講師を招聘(しょうへい)し、特性のある子供を理解するための研修も行う。柔軟な考えで子供たちに接することのできる教員組織を目指したい。また、教員にも個性があり、一人一人の持つ専門的な力が異なる。教員の日々の仕事状況を把握し、声掛けを行いながらその教員に合った校務分掌を心掛けたい。

③保護者・地域の期待に応える学校づくり

 学校には保護者や地域からさまざまな要望が伝えられる。時に厳しい意見をいただくこともある。しかし、それらの意見は学校への期待や関心の高さの表れだとも言える。保護者から学校への意見があった場合、教頭が窓口となり、まずは話に共感しながら、意見の真意を読み取る。その後、事実関係を確認し、担任や学年主任、生活指導担当教諭と情報を共有しながら組織的に対応する。保護者にとっては、学校で起こっている問題は状況が分かりにくく、対応の遅れは学校への不信感につながる。問題が早期解決しない場合も、その保護者とは連絡を密に取り、状況を伝え、誠意のある対応をする。また、学校便りの発行や授業参観など、学校に足を運んでもらえる機会を増やし、保護者や地域の理解を得て、子供を学校、保護者、地域がチームとなって育てていくようにしたい。

おわりに

 教員も保護者も、子供の笑顔と心身の成長を心から願っている。多様化する子供たち一人一人に最適な教育ができるように、教員と保護者・地域が協力できる学校を目指したい。私は教頭として校長の指導のもと、学び続け、組織で対応できる教員集団をつくり、保護者・地域の信頼を得られる学校をつくるために、教育活動の充実に全力で取り組んでいく所存である。

広 告
広 告