現在の本校は、多くの生徒が笑顔で登校し、生徒間の大きなトラブルが頻発することもない。しかし、地域住民や保護者は「以前は指導が大変な学校だった」と口をそろえる。そうした意味では、誰もが安心して登校できる学校へと変化している。しかし、さまざまな原因で不登校傾向になってしまう生徒が少なからずいる。こうした現代的課題を本校も抱えていると言える。
このような課題が解決できるよう、本校では、生徒に目指してほしい理想の姿として「好きになる そして 大切にする~自分を・仲間を・学びを~」というテーマを掲げ、日々の教育活動に当たっている。生徒に対しては、それぞれの理想の姿とそれに迫る3つの態度を学校集会や学校だよりを通じて紹介し、この理想の姿を意識させている。以下に、理想の姿と3つの態度のうちの1つを紹介する。
好きになる・自分を…自分はこんなことに向いている こんないいところがあると考えよう
大切にする・自分を…自分自身を傷つけないようにしよう
好きになる・仲間を…今いる集団の良さを見つけよう
大切にする・仲間を…仲間や集団のために自分ができることは何かを考え行動しよう
好きになる・学びを…少し頑張ればできそうな課題に取り組もう
大切にする・学びを…仲間の考えを聞いてみよう 自分の考えを伝えてみよう
また、本校では、各教科・各学年のグランドデザインを作成し、3年間を見通した教育活動も行っている。授業を通して「何ができるようになるか」「何が身に付いたか」を教育活動のゴールとして設定している。そして教師は互いの授業を見合って理想の姿に生徒がいかに迫ることができたかを話し合っている。
体育科の実践では、対話的な活動を多く取り入れたことで、生徒間で助言し合う姿が増えたとか、動きを学習者用タブレットで撮影させたことで、客観的な視点から考えられるようになったという報告があった。他の教科でも「仲間と話し合いながら答えを導き出す姿が見られた」「難易度に応じて解決方法を選択させることで個別最適な学びをすることができた」といった報告が見られた。
今年度から、学区内の3小学校も本校と同じ考え方でテーマを設定し、教育活動を進めることにした。互いの学校の授業を見合い、協議をしていくことで、地域一体となって児童生徒の育成を目指すことにしている。
(文責・奥野卓校長、執筆・樹神寛教務主任)